新庄動物病院
犬の口腔内メラノーマ
獣医師(院長) 今本 成樹
2021.12.21
今年も夏以降に4頭も犬の口腔内メラノーマが来院されています。
口の中のできものがあっという間に大きくなりましたってのが特徴で、本当に1,2週間で大きくなります。
そして、3㎝を超えてしまうと、ほぼ肺などに転移を開始していると考えられます。
また、口の奥に行くほど予後が悪いんです。
予後が悪いって?
そう、長く生きられないっていうことです。
無治療で3カ月弱。外科手術でも6~8カ月の予後です。
早期発見とはいうものの、なかなかそれも大変です。
また、手術するのも大変で、下顎切除(顎全部取るとか)をしなくてはならなくなります。
でも、切除できない場所にあることもあります。
そんな場合には歯科用のレントゲンで確認しながらやっていきます。
こんな感じ。
これで、ぼんやりと写真左に見える楕円形のやつが腫瘍です。ほぼ顎の骨の手前にあります。この部分を切除するのですけど、周辺に腫瘍が浸潤していたら嫌なので、ここにルペオールという薬品を打ちました。
ルペオールは、腫瘍の浸潤や転移を抑えてくれる物質ですので、時にこういった使い方も実施しています。
最近では、山口大学や北海道大学で抗体薬という免疫をうまく動かすための治療(治験)も開始しています。
当院においても、2022年1月から、がん抗原ワクチンの作成を開始して、がんワクチン療法も実施します。同時に免疫細胞の一つである樹状細胞の投与も実施しています。案外、こういった治療を併用したら、いい感じになります。しかし、1年生存するという面では高い壁があると思います。
何かやりたい!
という飼い主さんの気持ちは理解できますけど、いまだにその期待に副えるほど医学が発達していないってのも現実です。
不安からインターネットで検索して、いろんな情報を得ている飼い主さんも多いと思います。
しかし、本当に効果がある治療法がるなら、我々がいち早く導入して治癒させているはずです。
みんな、治したいっすよ。
今回紹介したルペオールやがん免疫療法も、まだまだ研究段階です。
一定の効果はある子も多くいますけど、みんなにその効果が約束できるわけではありません。
効果があった!ってのは、何もしないで残り3カ月の命が6ヵ月に伸びた!とか、そんなもんだったりします。
その3カ月で何をするか…。です。3カ月しか伸びなかったと感じられるのは理解できます。
その壁を超えるために、様々な研究が行われています。
あ、今日は、長く書きすぎましたね。
すいません。
獣医師(院長) 今本 成樹
獣医師(院長) 今本 成樹
新庄動物病院院長
院長ですけど、何かすごいことをできるわけではありません。
ラジオのDJやりたいです。
※ブログに投稿される医療などに関する情報は、各動物病院に一任しております。