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愛犬のための防災対策第2弾:日常から実践できる災害への備えとは?

愛犬のための防災対策第2弾:日常から実践できる災害への備えとは?

 
大出 智恵美
      

災害時の愛犬への備えを紹介する「愛犬のための防災対策」企画。今回の記事では、日頃のしつけや健康管理、避難シミュレーションなど普段からできる備えを「ペット災害危機管理士®特任講師」の大出智恵美先生に解説いただきます。

日頃のしつけ

災害時は犬が興奮し、思いがけない行動をとることがあります。避難先で周囲に迷惑をかけないためにも日頃からしっかりしつけをしておきましょう。

基本的な指示に従う

「マテ」「オイデ」「オスワリ」「フセ」など基本的な指示に従うようにしつけましょう。「マテ」は急な飛び出しや事故防止のために、「オイデ」は離れた犬を呼び戻すために必要です。「オスワリ」「フセ」は、興奮した犬を落ち着かせる効果があります。

トレーニングを受けている犬
 
人や猫と仲良くしている犬

犬の社会化

犬の社会化とは、人や場所、動物、音などを愛犬に経験させ、社会にある複数の刺激に慣れさせること。社会化によって、犬は新しい状況でも落ち着いて行動できるようになります。
避難所では騒音や他のペットとの遭遇など、犬にとって経験のないことが多く発生します。特に人慣れしていると、避難所で吠える・噛むなどのトラブルを避けることができます。
犬の社会化期に適しているのは、生後3~12週と言われています。成犬の場合は、無理せず少しずつ慣れさせましょう。

 

決められた場所での排泄

普段からペットシーツを敷いた室内のトイレで、排泄できるようにしておきましょう。災害で散歩に出られない場合や、避難所でのおもらしの防止に有効です。

ペットシーツの上でトイレをしている犬
 

健康管理

避難所ではストレスなどから、免疫力が落ちて体調を崩す恐れがあり、感染症が流行する危険も高まります。そこで、ワクチン接種などで犬の健康を管理することが大切です。また、日常での健康チェックや年1回~2回の動物病院での健康診断もおすすめです。

ワクチン接種

狂犬病予防接種は狂犬病予防法により義務付けられています。避難所によって、預かり条件にワクチン接種が含まれる場所もあるので、毎年必ず接種し注射済票を受け取りましょう。
ワクチンで予防できる犬の感染症は「犬ジステンパー」「レプトスピラ」など8種類。住んでいる場所や犬の体質などで必要なワクチンが異なるため、かかりつけの動物病院に相談してください。

ペット用ワクチン
 
ノミ、マダニ、蚊

ノミ・マダニ駆除/フィラリア症予防

災害時はノミ・マダニなどの寄生虫も流行しやすくなります。人を刺したり、他の犬に移してしまったり、時には感染症の原因にもなるため日頃からの駆除が大切です。
フィラリア症は、蚊を介して犬の心臓や肺動脈に寄生する寄生虫が起こす病気です。避難所において、犬は屋外で過ごすことも多いので、蚊との遭遇率も増加。感染が危惧されますので、月に一度フィラリア症の予防をしましょう。

 

避妊去勢手術

避難所での発情は、興奮や無駄吠え、マーキングなど問題行動の原因です。周囲の迷惑になるだけでなく、犬自身にもストレスがかかるので、事前の対策として避妊・去勢手術が考えられます。飼い主とはぐれている間に繁殖するトラブルも予防できます。

手術をしたあとにエリザベスカラーをつけている犬
 

家族間・地域のコミュニケーション

災害時の役割分担や避難方法を、家族と決めておきましょう。防災グッズの内容を家族間で定期的に点検。万が一の緊急時、親戚や友人に犬を預かってもらうことをお願いしておくことも必要です。

避難所で地域の方に受け入れてもらうためにも、散歩時などの挨拶を通し愛犬が地域の一員になれるようにつとめましょう。また、近隣の犬オーナー同士のコミュニケーションも欠かせません。災害発生時や避難所で、お互いに協力し助け合える存在。防災について話し合う、避難所を確認する、防災訓練に一緒に参加することもおすすめです。

他の犬や飼い主と交流している犬
 

住まいや飼育場所の防災対策

災害時に犬が逃げ込めるように、小型犬であればクレートを、大型犬であれば机などを飼育部屋に設置しておきましょう。
また、人の防災対策と同様に、転倒や落下のおそれがある物は置かず、家具は固定、窓や食器棚のガラスには飛散防止フィルムを貼りましょう。前回の記事で紹介した防災用品は、玄関などすぐ持ち出せる場所に置くことで、いざという時に忘れず持ち出せます。

転倒防止をしている家具を見守っている犬
 

避難シミュレーション

犬を受け入れる指定避難所は、自治体に問い合わせて確認しましょう。指定避難場所がわかったら、実際に防災グッズを持ち、愛犬と一緒に避難所まで歩いてみましょう。この時、自治体が発行するハザードマップで示されている危険な箇所を、自分の目で見ておきます。
避難所に到着したら「具体的に愛犬はどこで過ごすのか」「慣れない避難所で、愛犬の行動に変化がないか」など、可能な範囲で詳細にシミュレーションをしてみましょう。
さらに、一連のシミュレーション後には、防災グッズや避難所での生活用品に不足がないかチェックしてみましょう。災害時から避難所への受け入れの流れなど、一般的なペット防災に必要な項目が掲載されている「人とペットの災害対策ガイドライン(環境省発行)」を参考にしてみると、より深く愛犬との防災を考えるヒントになります。

飼い主と犬が一緒に避難シュミレーションをしている
 
監修者

大出 智恵美 先生

2011年の東日本大震災で、おびえるペットや、困惑するペットオーナーたちを目の当たりにする。当時の経験から「ペットを守るために、ペットオーナーに防災の知識を広めたい」という想いを抱き、一般社団法人全日本動物専門教育協会「ペット災害危機管理士®講師」と「愛玩動物救命士」資格を取得。
2016年の鳥取地震発生直後は、ペットたちの被災状況を把握するために現地まで駆け、日頃の備えの大切さやペットとの同行避難について講演。2019年の台風15号で甚大な被害を受けた千葉県のペット同伴避難所での視察経験をふまえ、現在は自治体や動物病院の獣医師やスタッフと協力し、防災グッズから日頃のしつけ、地域との交流など広く具体的な対策を中心に、全国各地で人とペット防災について講演を行っている。
また、「ペット災害危機管理士® 」取得を目指す人たちの講師、ペットフードメーカーのカウンセラーやアドバイザー、防災士、さすけなぶるファシリテーターとしても活動している。
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