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パグの特徴や性格は?歴史やかかりやすい病気、飼い方のポイントも【専門家監修】

パグの特徴や性格は?歴史やかかりやすい病気、飼い方のポイントも【専門家監修】

 
福山 貴昭
      

パグはしわの多い愛嬌たっぷりの顔が特徴的な人気の高い犬種です。パグの特徴や性格、かかりやすい病気、飼い方のポイントなど、パグの飼育で押さえておきたい内容を解説します。パグについて理解を深めるための参考にしてみてください。

目次

パグの歴史

床に座っているパグ

パグは古代アジアに祖先がいたと言われる非常に古い犬種です。チベットの僧院で飼育され、交配により小型化したと伝わっています。その後仏教とともに中国に伝わり、紀元前400年頃の中国では現在のような姿になっていた模様です。

東インド会社を通じてオランダに伝わり、オランダ王室や貴族などの人気を博します。オランダのスペイン侵攻でヨーロッパに伝来。オレンジ家のウィリアム王子やナポレオンの妻ジョセフィーヌに愛されたことは有名です。19世紀にアメリカにわたってアメリカケンネルクラブに登録されます。また日本にはヨーロッパよりも先に伝わっています。

パグの特徴

芝生の上を歩くパグ

パグの体高は平均で25~28cmほどです。雄・雌ともに理想的な体重は6.3~8.1kgで、小型犬に分類されます。小柄な体躯ながら筋肉質でがっしり引き締まっています。

ヒトの拳のような形のしわが眉間にあって鼻は短く、いびきをかく個体も珍しくありません。耳は前にぺったりと垂れているボタンイヤーと後方に少し垂れているローズイヤーの2種類です。ダブルコートの短毛で、毛色はアプリコット・シルバー・フォーン・ブラックなどがあります。

パグの性格

子どもとたわむれるパグ

パグは愛想が良く穏やかな性格で社交的ですが、頑固なところもあります。攻撃的なタイプではなく、遊びやいたずらが好きで人とも他の動物とも仲良く過ごせます。子どもの遊び相手にもなるでしょう。

パグのかかりやすい病気

病院で診察を受けるパグ

パグには犬種の特徴や遺伝などによりかかりやすい病気があります。ここで紹介するような症状がみられたら病気を疑い、早期に受診してください。

軟口蓋過長症(なんこうがいかちょうしょう)

パグの他にブルドッグ、シー・ズーなどの短頭種がかかりやすい病気です。軟口蓋とは、上あごの一番奥にあるやわらかい部分をいいます。通常、軟口蓋からは粘膜が軽度に垂れていますが、それが過剰に垂れるのが軟口蓋過長症です。軟口蓋が長く伸びて息を吸う時に喉頭蓋にかぶって気道をふさいでしまう病気です。

【症状】
最も特徴的なのは、夜間のいびきです。鼻を鳴らすような呼吸、開口呼吸、食べ物を飲み込めなくなる嚥下困難などがみられます。興奮時に症状が悪化する傾向があり、重症になると呼吸困難やチアノーゼ(粘膜が紫色になる)を起こします。

【診断】
症状と一般身体検査の結果により診断します。気管虚脱や鼻孔狭窄、喉頭虚脱といった上部気道疾患との鑑別が必要です。また、これらの病気を併発している例も多くみられます。
咽頭部を直接見ることが最良の確定診断法ですが、そのためには鎮静させるか麻酔をかける必要があります。

【治療】
急性の呼吸困難を起こしている場合は、まず早急な酸素吸入や冷却、ステロイド製剤の投与などの治療を行います。完全な治癒のためには、レーザーメスや超音波メスを使用して軟口蓋を切除する手術が必要です。手術後の経過はおおむね良好です。

短頭種気道閉塞症候群(たんとうしゅきどうへいそくしょうこうぐん)

鼻孔狭窄症や軟口蓋過長症、喉頭虚脱、気管低形成などいくつもの病気が合わさって起こります。上部気道の閉塞がおもな症状です。短頭種によくみられ、その体の構造がもともとの原因ですが、高温多湿、肥満、興奮などが危険因子となり、病状が急激に悪化することがあります。

【症状】
いびきや辛そうな開口呼吸、気温が上がった時にハアハアと騒々しい呼吸(パンティング)をします。その後、病状が悪化すると泡状の唾液を吐くようになり、食べ物を飲み込むことが十分にできなくなったり、運動に耐えられなくなります。

【治療】
原因となる部位を外科的に矯正することが最も適切な治療です。時間が経過するほど病態が複雑になってくるため、早めに治療すべきです。

発育障害・水頭症(はついくしょうがい・すいとうしょう)

先天性の脳障害により、発育不良になる場合があります。水頭症は遺伝によって発生します。

【症状】
痴ほうや歩行異常、旋回運動、性格の凶暴化などが認められます。

【診断】
水頭症は頭蓋骨が完全に閉じていないことが多く、その場合は東部の超音波検査で診断可能です。できればさらにCT検査やMRI検査を行うことが望ましいでしょう。

【治療】
おもに内科的治療を行い、脳圧降下薬を用います。治療に反応すれば数年は延命できますが、薬に反応しなければ短期間で死に至ります。脳内に溜まっている過剰な脳脊髄液をチューブでお腹に流していく脳室-腹腔シャント術という手術も行われています。

股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)

股関節の発育がうまくいかず、成長につれて股関節の変形や炎症が進行して股関節のゆるみや脱臼、亜脱臼が起こる病気です。

【症状】
股関節形成不全の程度と発生する年齢によってさまざまです。通常、生後4~12カ月頃に症状が確認されますが、2~3歳になるまで分からないこともあります。腰を振るように歩く、うさぎ跳びのように後肢が同時に地面を蹴って走る、坂道の途中で座り込む、階段や運動を嫌う、後肢を射たがる、起き上がるのが困難などの症状があります。

【診断】
股関節の触診を含む身体検査、X線検査によって診断が可能です。

【治療】
症状の程度や年齢、X線検査の結果、費用、飼い主の希望などを総合的に検討する必要があります。また年齢にかかわらず保存的内科治療と外科治療を行うことが可能です。

膝蓋骨脱臼(亜脱臼)(しつがいこつだっきゅう)

膝のお皿ともいわれる「膝蓋骨」が、内側や外側にずれてしまう病気です。

【診断】
触診やレントゲン検査を行います。

【治療】
原因を治療するには膝蓋骨を本来の位置に戻してずれないように安定化させる手術が必要です。また状態によっては手術ではなく、関節疾患の薬やサプリメントの服用を選択することもあります。

 

睫毛乱生(しょうもうらんせい)

睫毛(まつげ)の生える方向が角膜に向いていることで、角膜に刺激を起こす病気です。

【症状】
角膜が刺激されて涙目になったり、角膜が傷ついたり、角膜潰瘍を起こすことがあります。

【治療】
外科的に異常な睫毛を切除したり、毛根を電気で焼いたりします。

乾性角結膜炎(かんせいかっけつまくえん)

涙が減少することにより、角膜や結膜の表面に炎症が起きる病気です。原因には犬ジステンパーウイルスの感染や外傷、放射線療法、薬物感作などの他、原因がはっきりしていない自己免疫性、あるいは特発性と呼ばれるものがあります。

【症状】
初期は結膜の充血や浮腫を起こして、痛みを示しますが、病気の進行とともに痛みを感じなくなり、結膜に色素が沈着し、角膜にも欠陥が侵入して色素の沈着がみえるようになります。さらに粘液膿性(ねんえきのうせい)の目やにが眼瞼に付着します。

【診断】
シルマー試験という方法で涙の量を調べます。

【治療】
涙液補充療法として防腐剤無添加の人口涙液を点眼し、油成分を補うために眼軟膏を使用します。細菌感染のある時には、抗生物質の点眼を併用することも。さらに涙液の分泌を促進する薬物の投与、免疫抑制薬の点眼や軟膏も用います。

回復の程度は病気の原因によりさまざまで、自然に治癒することもありますが、慢性化して治りにくくなるケースも多い傾向です。

色素性角膜炎(しきそせいかくまくえん)

何らかの原因によって角膜に炎症が起こり、血管新生と色素沈着が発生する病気です。パグなどの短頭種では、角膜表面の過度の露出や涙液の減少、眼瞼内反などが原因として考えられます。飼い主は動物の視覚がなくなるまで症状に気が付かないことも多い病気です。

【症状】
角膜に色素沈着が起きたり、角膜上に血管新生(既存の血管から新しい血管が作られる)がみられます。

【治療】
原因の除去が必要です。おもに眼瞼内反の共生と角膜露出の低減を目的とする眼瞼形成手術などの外科治療や、抗炎症薬の点眼などを行います。原因が除去されれば経過は良好ですが、除去されない場合は完治することはありません。

パグの飼い方

元気に散歩をするパグ

最後に、パグの飼育で特に意識したいポイントを紹介します。パグの特性や苦手なものを理解し、日々気持ち良く過ごせるようお世話しましょう。

しつけは優しくほめて伸ばす

パグのしつけは優しく接して「ほめて伸ばす」のが適しています。また普段は穏やかですが1度興奮するとなかなか落ち着かない性格なので、しつけをする時は冷静さが必要です。頑固な一面が出てきた時にも、根気強く継続してしつけましょう。

散歩でしっかり運動させる/h3>

パグは太りやすい犬種なので、運動量を十分確保します。ただし、短頭種で呼吸機能が強くないため、激しい運動は向きません。毎日の散歩でしっかり運動させれば、肥満防止とともにストレス解消にもつながります。1日2回、1回につき20~30分、距離は1kmほどが目安です。ただし暑い時期は熱中症に注意が必要です。比較的涼しい朝晩の散歩が望ましいでしょう。

暑さ・寒さ対策を徹底する

パグは暑さに弱いため、できる限り寒暖差がなく過ごしやすい飼育環境をつくりましょう。夏は冷房を、冬は暖房やホットカーペットなどを使い、常に室温の管理を行います。パグに留守番をさせる時にも、不在の間に暑い・寒い状態にならないよう注意をしてください。

肌のお手入れを欠かさない

パグの顔にあるしわの間には汚れが溜まりやすくなっています。汚れを取り除かないとにおいの原因にもなり、皮膚病のリスクが高まるため、こまめなお手入れが不可欠です。

タオル・ガーゼ・コットン・刺激のないウェットティッシュなどでしわの汚れを優しくふき取ります。できれば毎日、少なくとも週に1回はお手入れしましょう。また、しわの間は湿ったままだと汚れやすいので、シャンプーをした後や汗をかいた時など濡れた場合には乾かしてあげてください。

ブラッシングをこまめに行う

パグはダブルコートで抜け毛の多い犬種です。そのままにしていると皮膚病にかかりやすくなるので、こまめなブラッシングが欠かせません。できれば毎日、少なくとも週1回を目安にブラッシングをしましょう。皮膚を傷つけないよう、優しく丁寧に行うのがポイントです。

パグの特徴や性格などを理解し、家族としてのお迎えを検討しよう

愛犬のパグとスキンシップをとる男性

パグは特徴的な顔立ちの他、優しく友好的な性格も愛らしく、家族の一員としてすぐに仲良くなれるでしょう。犬種の特徴や性格を理解して、パグが過ごしやすい環境を整え、丁寧にお世話することがポイント。またさまざまな健康リスクに気を付けて、日々の体調管理に努めることも大切です。パグのことを深く知り、お迎えを考えてみてください。

監修者プロフィール
福山 貴昭 博士

福山 貴昭 博士

ヤマザキ動物看護大学准教授。犬を専門とする両親の下で動物と共に幼少期を過ごす。「日本のペット業界に福祉的成熟をもたらすプロを育成する!」「専門性が求められる学術の世界で“ジェネラリスト”を目指す!」という2つのミッションを胸に教育や研究に携わる。TV出演や執筆などマルチに活躍。
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