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犬と車でお出かけ②移動編「車内で安全・快適に過ごすための工夫」

犬と車でお出かけ②移動編「車内で安全・快適に過ごすための工夫」

 
市川  崇
たかまるどうぶつ病院
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「犬と車でお出かけ①準備編」では、車に乗せるために必要なグッズやストレスを減らす練習を獣医師の市川 崇先生が解説。今回の「②移動編」では市川先生の愛犬・ナラちゃんが乗車をリアルに体験しました。家族全員の安全と快適を両立する移動中の対策を知っておきましょう。

プロフィール
市川 崇 先生

市川崇先生

たかまるどうぶつ病院院長。子どものころから動物が好きで、猫を保護した経験もある。獣医師を志して酪農学園大学獣医学部獣医学科に入学後、畜産農家の祖父母の影響で大型動物(牛や馬)の獣医療にも関心をもったが、幼少期の自分を思い出して小型動物(犬や猫)の獣医師の道へ。同学卒業後は都内の動物病院に5年間勤務したのち、2007年に初代の愛犬の名前をつけた、たかまるどうぶつ病院を開院。休日には3代目の愛犬と一緒に家族でキャンプや釣りを楽しんでいる。
たかまる動物病院

目次

出発前にできる車酔い対策と
安全確認を忘れずに

イメージカット

短時間の移動は大丈夫でしたが、長時間のお出かけは車酔いが心配です。

獣医師 市川崇先生

犬の車酔いの大きな原因は慣れない環境に置かれた不安なので、短時間でもお出かけした経験がある方なら大丈夫かもしれません。念のためかかりつけの動物病院で獣医師に酔い止め薬を処方してもらうと安心です。愛犬に車酔いの症状が見られたら、車を停めて酔い止め薬を飲ませて30分ほど経ってから出発しましょう。
片道3時間を超える遠出や泊まりがけの旅行の際は、念のため目的地までのルートから近い動物病院を調べておくこと。犬に万が一のことがあった場合でもすぐ立ち寄れます。

[車酔いの症状]

  • ※下へ進むごとに重度の症状になる
  •  □よだれの量が増える
  •  □震えが止まらない
  •  □嘔吐する
  •  □ぐったりする
 

犬をキャリーケースに入れないとダメですか?

獣医師 市川崇先生

車内で犬が動き回ると運転の妨げになり、もし事故を起きれば犬が車外に投げ出される危険があります。後部座席で自由にしていた犬がパワーウインドウのスイッチを押し、開いた窓から飛び出してしまった事故も起きていて、リスクを挙げればきりがありません。車での移動の際には、家族全員の安全を確保するために必ずキャリーケースに入れてください。
入り慣れていないと不安症状が強くなるので、車酔いの予防のためにも「犬と車でお出かけ①準備編」を参考に練習しましょう。普段からキャリーケースをハウスにしていれば、室内の環境がそのまま車内の環境になるので、ストレスをやわらげる対策にもなります。

出発前の食事はどうすればいいでしょうか?

獣医師 市川崇先生

車酔いをしない犬の場合は、通常の朝ごはんの量のフードを出発の1時間前に食べさせましょう。念のため腹八分目くらいにしておいたほうが無難かもしれません。車酔いする犬は、出発の30分前に少量のフードと酔い止め薬を与え、残りのごはんは目的地に到着してから食べさせてください。

犬が車内で安心・安全に過ごせる環境づくり

車内の犬

(1)キャリーケースをカーゴスペースに載せる

床面が平らなカーゴスペースは揺れが少なく、犬を乗せるうえで車酔い対策にもなります。もし車にカーゴスペースがない場合は、安定しやすい後部座席の足元へ。シートの上ではキャリーケースが転がってしまうため、シートベルトで固定するなどの工夫が必要です。犬をキャリーケースに入れてからリードをはずしてドアを閉めましょう。

(2)揺れを軽減できるネオプレン素材のシートを敷く

キャリーケースの下にウェットスーツなどに使われるネオプレン素材のシートを敷くと、滑り止め効果でキャリーケースの揺れを軽減できます。防水だから水遊びのあとも車内が濡れないし、抜け毛がついても素早く落とせますよ。

(3)犬に家族の視線と空調が行き届くことを確認する

カーゴスペースに荷物をぎゅうぎゅうに詰めると熱がこもってしまいます。車内の空調が行き届くようにキャリーケースの上部は開けておくこと。定期的に窓を開けて空気の入れ替えをすると気分転換にもなります。犬の様子を見るために後部座席やカーゴスペースに小さいミラーをつけるのも一案ですね。

体調に関わる熱中症対策や
水分補給のタイミング

犬に水を飲ませる様子

暑い時期のお出かけは熱中症が心配になります。

獣医師 市川崇先生

エアコンを止めると車内は外より暑くなってしまうので、真夏のお出かけはあまりおすすめしません。エンジンを切らずにエアコンをつけておけば大丈夫と思いがちですが、車は走行していなければエアコンが十分に効かないんです。車のエアコンをつけて犬を留守番させおき、戻ってきたら熱中症を起こしている事例もよくあります。暑い時期に出かけるときには必ず犬に付き添い、決して置き去りにしないことが重要です。
逆に寒い季節には命に関わる事故は少ないと思います。強いて言えば短毛のスムースコートのチワワ、シングルコートのマルチーズなどは寒さに弱いので防寒対策をしましょう。

移動中の休憩や水分補給のタイミングの目安は?

こちらを見つめる犬

獣医師 市川崇先生

運転者の休憩と同じタイミングで2時間に1回が目安です。犬も含めて家族全員の気分転換や排泄、水分補給を兼ねてちょうどいいと思います。食事や買い物の際も犬を車内で留守番させるのは避け、必ず1人は付き添ってください。
あらかじめ立ち寄る高速道路のサービスエリアを決めておくと休憩がスムーズです。サービスエリアにあるドッグランに立ち寄ったりして、目的地までの道中も楽しめるのが犬とのお出かけの醍醐味かなと思いますよ。

犬が車酔いで吐いてしまいました……!

獣医師 市川崇先生

もし犬に車酔いの症状が見られたら早めに休憩を。嘔吐や下痢などのアクシデントがあったとしても、移動中の車内では落ち着いて掃除ができないうえ、運転者の気が散って事故につながりかねません。慌てずにサービスエリアなどに駐車して掃除しましょう。犬も車もすっきりきれいにしてから、仕切り直して気持ちよく出発してください。

最後に、市川先生から
車での移動に関するアドバイス

犬が落ち着かない場合、どうすればいいですか?

獣医師 市川崇先生

犬が夢中になれる知育玩具にフードやおやつを入れて与えましょう。犬は噛む欲求や食べる欲求が満たされている間は落ち着いていられるので、たとえば「コング(天然ゴム製の知育玩具)」にふやかしたフードを詰めておくといいですね。車が苦手な犬やお出かけに興奮して吠える犬にもおすすめします。

お出かけ前に犬がトイレを済ませてくれません……。

獣医師 市川崇先生

犬の排泄を指示でコントロールできるようにトレーニングしてみませんか?日ごろから犬が排泄する直前から「ワンツー」と言い続けていれば、「ワンツー」という単語と排泄が結びつき、「ワンツー」の指示で排泄できるようになります。
指示でお出かけ前に排泄できれば車内で粗相を防げるだけでなく、犬に我慢もさせなくて済みますよね。人通りが多い観光地でも草むらに誘導して排泄させることができ、マナーとしても役立ちます。
トレーニングが難しい場合は、キャリーケースにトイレシートを敷いたり、犬にマナーベルトやマナーバンツをつけたりして対策しましょう。

犬が逃げてしまったときの対策を知っておきたいと思います。

獣医師 市川崇先生

まずはマイクロチップを装着しておきましょう。GPSではないので追跡はできませんが、どこかで保護されてリーダー(読み取り器)で識別番号がわかれば、飼い主さんのもとに戻れる確率は格段に上がります。首輪やハーネスにゆるみがないように調節し、はずれないように鑑札と狂犬病予防注射済票もつけてください。さらに迷子札も装着しておくと安心だと思います。

市川先生の愛犬・ナラちゃんは、車のカーゴスペースに積んだケージでリラックスしていました。子犬のころからお出かけに慣れていることもあり、移動中も同じように落ち着いているそうです。愛犬と外出する際の準備の大切さがわかりますね。

次回は③到着・帰宅編到着・帰宅編「目的地での過ごし方や帰宅したときの注意点」です。犬がお出かけ先の環境に慣れるようにケアする方法や、体調の変化を見逃さないポイントなどを市川先生が詳しく解説します。

取材にご協力いただいた病院

 

たかまる動物病院
たかまる動物病院

神奈川県横浜市瀬谷区瀬谷2-47-3

到着編はこちらからチェック
犬と車でお出かけ③到着・帰宅編

神奈川県 横浜市瀬谷区
市川  崇
たかまるどうぶつ病院
0HugQ

たかまるどうぶつ病院院長。子どものころから動物が好きで、猫を保護した経験もある。獣医師を志して酪農学園大学獣医学部獣医学科に入学後、畜産農家の祖父母の影響で大型動物(牛や馬)の獣医療にも関心をもったが、幼少期の自分を思い出して小型動物(犬や猫)の獣医師の道へ。同学卒業後は都内の動物病院に5年間勤務したのち、2007年に初代の愛犬の名前をつけた、たかまるどうぶつ病院を開院。休日には3代目の愛犬と一緒に家族でキャンプや釣りを楽しんでいる。

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