オーナーさんのお悩みに獣医師がお答えする企画「ペットのお悩み相談室」。第8回のゲストは、ポメラニアンのポテチくん。オーナーのもふ主さんの質問にお答えいただくのは、「お悩み相談室」おなじみの獣医師、中村篤史先生です。日本の救急医療の現場で多くの動物の命を救い、現在は海外を拠点に活躍中です。ポメラニアンならではのお悩みや、オーナーさんが日頃気になっている疑問を中心にアドバイスをお願いしました。
ポテチ
SNSアカウント： X @Lemon0517ch
中村 篤史 先生
目次
お兄ちゃん猫のレモンくんに育てられたポテチくん
中村先生ポテチくんは典型的なポメちゃんという感じですね！フレンドリーであんまり吠えない、とっても愛想もいいですね。
もふ主さんお兄ちゃん猫のレモンに育てられたので、ポテチはよくレモンの真似をするんですよ。小型犬を飼うのは初めてで、分からないことはいつもネットで調べています。今日は気になっていることをいろいろ相談させてください。
中村先生もちろん！よろしくお願いします。
去勢手術後の食欲が止まらない！ポテチは太り過ぎ……？
ポメラニアン特有の心配ごとも。
体重のコントロール
もふ主さん半年前に去勢をしてからすごく食欲が旺盛になったんです。それまでは好き嫌いもあったんですが、今は食べられそうなものは何でも食べるほどになりました（笑）。ちょっとダイエットしたほうが良いですか？。
中村先生触った感じだと、ちょっと脂肪がついてるかな。ポメラニアンは太ってしまうと膝の関節に負担がかかります。それに喉に脂肪が付いて、いびきをかきはじめるんです。体重をコントロールしてあげたほうが、体は楽になりますよ。
散歩や運動は季節によって十分にできないことがあるので、一番はご飯の量を調節することが大切です。
もふ主さんそんなにあげているつもりはなかったんですが、これからちょっとご飯を減らすようにがんばります！今のフードのままで量を減らすかダイエットフードに切り替えるか、どちらが良いですか？
中村先生食事は量的な部分の満足感がけっこう大事だと思うので、ダイエットフードに切り替える方法もあるかなと思います。ぜひ頑張ってみてください。
・体を少し押すと肋骨に触れるぐらいの肉付きがベスト。
・去勢手術後は食欲が旺盛になりやすいので、ご飯の量に気を付けましょう。
・フードの量を減らすか、それでも欲しがるようならダイエットフードに切り替える方法も。
被毛のケアについて
中村先生ポテチくんのように毛が長い子は、毛がもつれてしまうと湿気がこもったり毛玉ができたりします。皮膚炎の原因にもなるので、このもふもふを維持するのが長生きの秘訣です。
もふ主さん柴犬カットもかわいいなと思うのですが、ポメラニアンは毛を刈ると生えなくなっちゃうと聞いたんです。ポメラニアンに多いとされる脱毛症（通称ポメハゲ）も気になっています。
中村先生ハサミやバリカンによる刺激で生えにくくなったり、紫外線が当たったりといろいろな要因が考えられます。トリマーさんたちは、毛と皮膚に刺激を与えないよう深くハサミを入れないようにしているそうです。でもいくら気を付けていても、急に毛が抜けてしまうことがあるんです。
もふ主さんポテチもお尻だけは毛を切っていて、そこだけちょっとゴワゴワしているんです。白いポメラニアンにポメハゲが多いという話も聞くので、ちょっと柴犬カットは手を出さずにいようと思います。
中村先生もふ主さんは本当に詳しいですね！僕のほうが勉強になります。
・ポメラニアンはもふもふ姿を維持するのが長生きの秘訣。
・去勢手術後は食欲が旺盛になりやすいので、ご飯の量に気を付けましょう。
・フードの量を減らすか、それでも欲しがるようならダイエットフードに切り替える方法も。
歯磨きのコツが知りたい
もふ主さんポテチはなかなか歯磨きをさせてくれないんです。上手にやるコツはありますか？
中村先生歯磨きに慣れてもらうコツは、3つのステップで少しずつ進めていくことです。プロのトレーナーさん達は、まず歯磨き系のおやつやデンタルペーストを舐めさせることから始めます。
慣れてきたら次は布や歯ブラシに載せて舐めさせます。そしてコミュニケーションの中で、歯を触ることにもチャレンジしましょう。
次に布を指に巻き付けて、徐々に歯の汚れを拭いていきましょう。ここでのポイントは、きちんと布を指に巻くこと。そうしないと布を食べてしまい、誤飲する危険性があります。それに、指で汚れを拭き取りやすくなります。
もふ主さん実演ありがとうございます！さっそくチャレンジしてみます。やっぱり毎日歯磨きをしたほうが良いですか？
中村先生歯に付いた汚れは48時間で歯垢となり、やがて歯石へと変わります。だからなるべく毎日するのがおすすめです。1日で最後のご飯を食べた後には歯磨きをすることを習慣にしたいですね。
・歯磨きは徐々に慣れさせていくのがポイント。
・汚れを取り除き誤飲を防ぐためにも、布はしっかり指に巻き付けて。
・歯磨きは上の歯、下の歯、犬歯の順に。毎日の習慣にしましょう。
歯ぐきの状態が気になる
もふ主さんちょっと歯ぐきが赤く腫れているのが気になっているんです。病院で診てもらったほうが良いでしょうか。
中村先生たしかにちょっと腫れていますね。犬は虫歯にはなりませんが、歯周病にはなります。毎日の歯磨きでケアしていても、歯ぐきの奥の歯石までは取れません。もし歯ぐきが腫れたり出血しやすかったりするなら、動物病院で麻酔をかけて歯石を取ってもらうのがおすすめです。
もふ主さんそれって全身麻酔をかけるんですよね、体への負担は大きくないですか？
中村先生全身麻酔は飼い主さんの心理的ハードルが高いと思いますが、健康な子ならほぼリスクがないと思っています。健康診断を1年ぐらいしていない子が麻酔を受ける際は、腎臓や肝臓の機能が問題ないか調べてからのほうが安心です。
もふ主さんそうなんですね。今度かかりつけの先生にも相談してみようと思います。あと気になっていたのが乳歯のことなんです。半年前に去勢手術をした時に乳歯を何本か抜いてもらったのですが、1本残っていて。
中村先生たしかに1本ありますね！でもこれって実はよくある話なんです。幸い犬歯ではないので、緊急性はありません。今度歯石を取ってもらうときに、先生に抜いてもらうと良いかもしれませんね。
・歯磨きは徐々に慣れさせることが大切。スキンシップを兼ねて毎日の習慣に。
・歯ぐきトラブルがあるなら動物病院での歯石除去を検討しよう。
お悩み相談室 前編は、体重のコントロールや被毛のケア、歯磨きのコツについて中村先生にアドバイスをいただきました。後編ではポテチくんのオーナーさんが気になっている病気にまつわる悩みを獣医師の視点からアドバイス！
【後編】はこちらからチェック
小型犬種・ポメラニアンならではの悩みに中村先生がアドバイス！気になるパテラや涙やけの対策は？（後編）
