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【図解】高齢犬とは何歳から?老化のサインと注意点

【図解】高齢犬とは何歳から?老化のサインと注意点

 
林 大介
ベイタウンペットクリニック
50HugQ
      

愛犬はいくつになってもかわいい存在ですが、人間より早く歳を重ねていきます。元気な高齢犬を目指すためには、若いころからの健康維持とシニアへの備えが大切です。「ベイタウンペットクリニック」の林大介先生に、飼い主さんが知っておきたい老化と病気のサインや元気に1日でも長く過ごすために気を付けるポイントをうかがいました。

プロフィール
林 大介 先生

林 大介 先生

ベイタウンペットクリニック院長。北里大学獣医学部卒業。アニマル漢方研究会所属。1ベイタウンペットクリニック院長。北里大学獣医学部卒業。アニマル漢方研究会所属。健康維持に役立つ予防医学に力を入れ、万病の原因になる歯周病を防ぐプラズマ治療、漢方薬や鍼治療などの東洋医学にも取り組む。トータルシニアケアの一環として年齢を問わず気軽に立ち寄れる動物病院を目指し、高齢犬に対応したケアグルーミング、預かり施設のドッグハウスクラブも運営している
ベイタウンペットクリニック

目次

シニア期に備えよう。何歳になったら高齢犬?

まずは人間と犬のライフステージの違いを教えてください。

犬のライフステージは大まかなサイズごとに違いがあり、体格が小さいほど老化が遅く、寿命が長い傾向があります。小型犬は7歳ごろから、中・大型犬は6歳ごろから高齢犬にさしかかるといわれていますが、ドッグフードの品質が向上し、獣医療の発展で病気の早期発見や高度医療が可能になったこともあって、7歳ではまだまだ元気なさかりという印象があります。犬の年齢を人間に換算した場合の資料でも、犬の7歳は人間の40代といったところ。実際には10歳を超えたころから老化のサインや病気が目立つようになると感じます。

猫と人のライフステージ

参照)環境省

元気な高齢犬を見かけることが増えたように思います。寿命も伸びていますね。

犬の平均寿命もサイズによって変わりますが、おおよそ14~15歳と考えていいでしょう。ただ、最近は18歳以上まで長生きする高齢犬が増えていると感じます。20歳を超える高齢犬は小型犬に多く、当院で診た最高齢は、トイ・プードルの21歳です!平均寿命はこれからも伸びていくのではないでしょうか。
犬種によっても違いがあり、トイ・プードル、ミニチュア・ダックスフンド、ヨークシャー・テリア、柴犬は比較的健康寿命が長く、ミニチュア・シュナウザーやバーニーズ・マウンテンドッグは若いころから病気のリスクがあり、結果的に寿命にも影響していると思います。

高齢犬のサインは病気の初期症状に似ている

シニア期にさしかかった犬にはどのような変化が現れますか?

ライフステージによる高齢犬の分類に加えて、飼い主さんには身体的な変化と行動の変化を見ていただくのがいちばんです。高齢犬のサインはいろいろな病気の初期症状と似ているので、気になることがあれば動物病院を受診してくださいね。獣医師の目でもチェックすれば老化と病気の区別ができ、安心感につながると思います。

猫と人のライフステージ

猫と人のライフステージ

猫と人のライフステージ

元気な高齢犬を目指すために、飼い主が知っておきたいこと

いくつになっても元気でいてほしい。高齢犬の健康維持に役立つ方法はありますか?

見えないところで老いが進んでいる可能性もあるので日々の健康チェックは重要です。高齢犬のケアは飼い主さんが体と心の変化に気づいたときから始めましょう。

猫と人のライフステージ

  • Point1.散歩などの定期的な運動
    年をとると筋肉が落ちて疲れやすくなりますが、散歩や運動をやめては足腰が弱くなってしまいます。キャリーを持って行き、犬が歩きたがるところで降ろしてあげるといいでしょう。外へ出かければいろいろな刺激を得られ、認知症対策にも有効と考えられます。キャリーは犬が乗れるゆとりが十分にあるバギーやカートがおすすめ。スリングや小さいバッグは無理な体勢になってしまう場合があります。
  • Point2.家族で健康チェックを共有
    元気、食欲、排尿、排便など、日常の健康チェックを○×△で記録する簡単な健康チェック表を作り、家族で共有しておきましょう。ホワイトボードでもなんでもかまいません。食欲や排便はその場にいた人しかわからないので、変化に気づくのが遅れてしまうことも。日々を記録することで誰もがちょっとした変化に気づきやすくなり、病気の早期発見・早期治療にもつながります。
  • Point3.主治医のいる動物病院を決める
    シニア期になると体調を崩しやすくなるため、ちょっとしたことでも相談できる主治医(ホームドクター)を見つけておきましょう。元気なころから通い慣れている動物病院であれば体調管理のデータも蓄積されているので、獣医師が変化に気づきやすくなります。通い慣れていれば愛犬も安心して受診できるのもメリット。かかりつけの休診日や夜間の不調に備えて、主治医に連携できる近隣の動物病院を聞いておきましょう。
  • 動物病院で健康診断を受ける
    できれば2~3カ月に1回は、体重測定などで動物病院に行く習慣をつけてほしいですね。体重の増減がわかるだけでなく、問診や触診で家族が気づきにくい病気の発見につながることもあります。トリミングサロンが併設されている動物病院なら、毎月のケアのついでに顔を出すといいでしょう。病気が増え始める10歳を超えたら、血液検査や尿検査を含む健康診断を半年に1回は受けたほうが安心だと思います。
健康診断の具体的な方法など詳しい情報はこちらの記事をチェック
【獣医師×ペットケアマネージャー対談①】早めに備えたい「シニア犬のケアと介護」

高齢犬の飼い主が気になることに林先生が回答

Q.愛犬がシニア期に入ったら気をつけたほうがいいことはありますか?

A.環境やちょっとした体調の変化に注意

 

高齢犬は皮下脂肪が落ちたり不安が強くなったりすることもあり、環境の変化に弱くなりがちです。若いころと違って、気温や気圧が変わっただけでもごはんを食べられなくなってしまうことも少なくありません。また、関節に痛みも出やすくなります。エアコンや洋服を利用し、年間を通して温度調節を心がけましょう。目が衰えてくるので家具の配置は変えないほうが無難です。

昨日は調子がよかったのに今日は元気ない、というケースも日常的にあることです。ちょっとした不調が体調の悪化につながる可能性も……。家族で健康チェックを共有し、気になることがあれば念のため主治医に相談してください。

Q.老化と病気のサインの見分け方とは?

A.まずはおしっこに注意

 

代表的な病気のサインは「多飲多尿」です。犬が1日に摂取する水分量の目安は体重1kgあたり50mlなので、3kgなら150ml、5kgなら250mlです。トイレシートのおしっこをチェックして、量が多く色が薄い場合は、体内のバランスが崩れているサインかもしれません。慢性腎臓病、糖尿病、肝臓病、副腎皮質機能亢進症などの病気の可能性があります。念のため動物病院を受診して血液検査と尿検査を受けてください。

Q.シニア用のドッグフードにはいつごろから変えればいいでしょうか?

A.各種メーカーの推奨年齢を参考に

 

いろいろなペットフードメーカーが研究に基づきライフステージ別のフードを販売しています。とくに病気がなければ、愛犬が好む種類のフードの推奨年齢を参考に選んで切り替えるといいでしょう。肝臓や膵臓の機能が落ちてくると脂肪が多いものは下痢の原因になるので、フードやおやつは低脂肪の素材を選ぶのがポイントです。

Q.もしもの時に、愛犬の不調に備えて飼い主ができることはありますか?

A.主治医+αの病院を探しておく

 

主治医はもちろん、もしもの時(夜間・休診)に駆けつけられる病院を作っておくことも大切。シニア期に入る前の元気なうちに、自宅近くの病院を巡って愛犬や自身との相性も確認しておくことは意外と重要なポイントです。
加えて、以前は1つの動物病院ですべての病気に対応しようとする時代でしたが、今は獣医療が発展して専門化が進み、人間の診療科のように歯科、外科、循環器科などに分かれ、高度医療に対応できる動物病院も増えています。主治医に相談して適切な動物病院(セカンドオピニオン)の紹介を頼むのもいいでしょう。

<林先生からのメッセージ>

高齢犬には何よりも日々の健康チェックが大切

愛犬の健康維持は、飼い主さんと獣医師の目で小さな不調を見逃さないことが第一です! 高齢犬が健康でいられるのはもちろん、さらに快適で楽しく長生きできるように支えていくのが私たち獣医師の仕事です。気になることがあれば気軽に相談してくださいね。

千葉県 千葉市美浜区
林 大介
ベイタウンペットクリニック
50HugQ

ベイタウンペットクリニック院長。北里大学獣医学部卒業。アニマル漢方研究会所属。健康維持に役立つ予防医学に力を入れ、万病の原因になる歯周病を防ぐプラズマ治療、漢方薬や鍼治療などの東洋医学にも取り組む。トータルシニアケアの一環として年齢を問わず気軽に立ち寄れる動物病院を目指し、高齢犬に対応したケアグルーミング、預かり施設のドッグハウスクラブも運営している。

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