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子犬のトイレトレーニング 今度こそ成功するコツと具体的な 方法【Q&A編】

子犬のトイレトレーニング 今度こそ成功するコツと具体的な 方法【Q&A編】

 
須﨑 大
      

子犬のトイレトレーニングはさまざまなしつけ方の本や記事で紹介されているにも関わらず、「うまく教えられない」と悩んでいるオーナーさんが多い問題です。まずはDOGSHIP LLC. 代表・須﨑大先生が解説する本記事の【基本編】のトイレトレーニングの実践を。【Q&A編】ではトイレの悩みや失敗の原因別に成功へと導くまで流れを解説します。

プロフィール
須崎 大さん

須崎 大さん

ヒューマン・ドッグ トレーナー。DOGSHIP LLC.代表。実務経験と動物の行動学と心理学を学問してきた立場から、人と犬、人と人の相互関係をライフワークとして研究。互いの行動変容を促すコーチングを用いたトレーニングをおこなう。また近年は「動物から学ぶコミュニケーション」をテーマに、企業や自治体・ホテル等でセミナーなどもおこなっている。

目次

トイレシートにおしっこのにおいを残しておいたほうがいい?

トイレシートの横にいる犬

須崎 大 先生

子犬はきれいなトイレのほうが成功しやすい

犬はきれい好きなので、清潔なトイレのほうが行きたくなります。オーナーさんも掃除されていないトイレには入りたくないですよね。ただし不安傾向が強いタイプは自分のにおいがある場所で安心するため、おしっこがついたトイレシートが残っているほうが成功しやすいかもしれません。犬の性格や学習状況によりますが、僕の経験では子犬の時期にそこまで極端に不安を感じるタイプは少なく、おしっこのにおいを残した結果、失敗が増えていくケースが多いように思います。

トイレを覚えているはずなのにはみ出す理由は?

トイレシートの上にいる犬

須崎 大 先生

部屋の隅や壁際に設置しているなら 10cm離してみて

トイレをリビングに置くことに抵抗がある家庭では、部屋の隅や壁際に置くことが多いと思います。ところが犬は壁に向かって行くことが苦手。獲物を追うために目が正面についている捕食動物なので、壁に向かうことは不自然な行動なんです。トイレを壁際から10cm程度離して犬が行きやすい環境に変えましょう。成功を重ねればトイレを壁際に近づけても排泄できるようになります。
決まった場所で排泄する習慣を持たない犬の生理現象をトイレトレーニングで変えようとしているわけだから、犬の心情を理解するように努めたいですね。

オスとメスではトイレの形を変えたほうが成功する?

トイレ中の犬

須崎 大 先生

性別を問わず腰を落としてしゃがんだ姿勢での排泄を教える

足を上げて排泄する理由は自己主張のマーキングで、生後6カ月ごろから見られます。性別を問わずいばりたいタイプほど足をぐっと上げます。周りにおしっこが飛び散りやすいので、あえて家の中で足を上げるように促す必要はないでしょう。
子犬のころからフラットなトイレトレーで教えても成功率は変わりません。腰をおとしてしゃがんだ姿勢で排泄する気持ちよさを教えれば、成長しても室内では排泄の際に足を上げる習慣はつきにくくなります。

基本のトイレトレーニングを試しても失敗する

トイレを失敗した犬

須崎 大 先生

犬と同じ目線になれば失敗する原因が見えてくる

基本のトイレトレーニングを続けてもうまくいかない場合、僕は家庭にうかがって犬と同じ目線で住まいの環境を確認しています。するとトイレに光が強く入っていたり階下の音が響いていたりして、落ち着かない原因が見えてくるんです。人間もトイレは薄暗く静かな環境のほうが落ち着きますよね。トイレの失敗が多い場合は教え方の前に環境をチェックしてみましょう。

食糞するのが悩み。うんちはすぐ片付けたほうがいい?

トイレの処理をする飼い主

須崎 大 先生

急がない、慌てない。片付ける前に1分間、うんちの鑑賞会をしよう

消化器が未発達な子犬の排泄物はうんちになりきっていないため、ごはんとなるタンパク質のにおいが残っていて興味を引きやすいんです。トイレを清潔にしておくことは大切ですが、うんちをすぐ片付けるオーナーさんの行動が食糞を助長していることもあります。
たとえばオーナーさんがすぐ片付けられない場合、うんちがある状況に不慣れな犬は気になって片付けるために自分で食べてしまうことも。また、慌てて片付けようとするオーナーさんの行動が刺激になって興奮し、うんちを取られまいとして競争のように食糞することもあります。
そこで、僕は1分間のうんちの鑑賞会をおすすめしています。「今日もいいうんちが出たね」と子犬に声をかけながら鑑賞することで、犬はうんちがある状況に慣れ、オーナーさんとの競争にも発展しにくくなります。

排泄をほめていたら逆にトイレを失敗するように…

トイレに成功してほめられる犬

須崎 大 先生

オーナーさんの声や存在が大きすぎるのかもしれない

オーナーさんが近づいたり声をかけたりすると、気が散って排泄をやめてしまう犬は少なくありません。排泄の指示を教える場合は落ち着いた声を心がけてください。また、犬にとって直線的な視線や接近は敵対を意味するので不安が強化されてしまいます。排泄中の犬に近づく場合は、目を逸らしながら蛇行するように心がけましょう。
犬をリビングでフリーにするときにはトイレを覚えるまで目を離さないのが基本ですが、見つめるのではなく目の端で捉えるように観察しましょう。

トイレの場所を決めたけれど、やっぱり移動したい…

トイレをする犬

須崎 大 先生

トイレシートの上で排泄することを教えていれば移動できる

犬はトイレの場所を覚える際に、肉球の感触でトイレシートも記憶します。まずはトイレシートで排泄する学習を進めて、トイレの場所を移動しましょう。もしトイレとは違う特定の場所で排泄を繰り返す場合、そこで排泄したい理由があります。トイレトレーニングをやり直すよりも、その場所にトイレを置いたほうが最短で成功できますよ。

リビングに出すとサークル内のトイレに入りたがらない

須崎 大 先生

「IN OUT GAME」で住まいのイメージアップを試してみて

落ち着く気持ちになれる場所では犬も排泄をしたくなります。子犬にとってサークル(ケージでも可)が心地よい住まいになっていれば、リビングにいてもトイレに戻って排泄したくなるものです。クレートやサークルの扉を開けたときに飛び出してくるなら、外のイメージのほうが非常によすぎるということになります。
そこで、住まいをイメージアップするために「IN OUT GAME」をおすすめします。犬は狭いところで落ち着きやすいものの、改めて安心安全な場所と教えることが重要です。さらに犬任せではなくオーナーさんの指示で入ったり出たりできるように学習を進めましょう。オーナーさん自身がリラックスしてゲーム感覚で教えれば、犬も住まいで落ち着けるようになります。自分の空間でひとりの時間を過ごせるようになるのも成長のひとつ。クレートで教えれば災害時の同行避難の際にも役立ちますよ。

キャリーの中で座る犬

[IN OUT GAMEの教え方]

  • (1)「IN」という指示でクレートやサークルに犬を入れる。最初はごほうびを持った手を犬の鼻先からクレートやサークルの中へ動かして誘導する
  • (2)犬が中に入ったらほめて、小さいごほうびをなるべく奥で与える(扉に近いところでは出たい気持ちが強くなるため)。犬が出ようとしたら素早く奥で小さいごほうびを与える
  • (3)「OUT」という指示で犬が出たらほめる。外のイメージは十分によいためごほうびは必要ない
  • (4)可能であれば(2)の中に入った時点で「DOWN」の指示で犬にふせをさせ、落ち着くようにサポートする
  • (5)レベルアップを目指して、クレートやサークルから50cm程度離れたところから(1)~(4)を繰り返す

犬の性格や家庭の環境に合わせて基本のトイレトレーニングを見直してみると、トイレは奥が深くておもしろいと思いませんか?犬は感情の部分は人と似ているので、清潔なトイレで落ち着いて排泄したい気持ちを想像するだけでも成功に近づけるはず。トイレがうまくいくようになればオーナーさんとの関係もよくなり、ひいては互いの豊かな暮らしにつながります。

取材にご協力いただいたスクール

 

DOGSHIP

「イヌを理解し、犬の個性を活かす」ことを念頭においたトレーニングを実施する、ドッグトレーニングスクール。2014年の開校以来、犬のしつけや訓練に留まらず、飼い主も共に学べるプログラムを提供。飼い主の日常において、犬が主体的に考察・判断することが可能となることを目標としている。

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