子犬を迎えた日から始めたいのがトイレトレーニングです。本記事の【基本編】ではDOGSHIP LLC. 代表・須﨑大先生が子犬のトイレトレーニングを解説。成功へ導くまで流れをロジックで紐解きます。
須崎 大さん 撮影[toratoyagi_111]
目次
子犬のトイレトレーニングを成功に導くロジックとは?
トイレトレーニングの方法はわかっていても、「どうして、そういう教え方をするのか」というバックグラウンドまでは意識していないオーナーさんが多いのではないでしょうか。まずは成功へと導く基本のトイレトレーニングを紐解いていきます。教え方のロジックがわかれば、失敗したときにも「なぜ、できないのか」と理由を考える発想が生まれるようになるからです。
排泄は動物の生態に深く関わっているため、僕はパピー期の「トイレの学習」を通して、飼い主さんが愛犬のことを知り、学ぶ機会にしてほしいと思っています。
子犬のトイレトレーニング①「タイムラインと環境を整える」
家庭犬のトイレトレーニングは、犬がリビングでフリーにした状態でもトイレを選べることが目標です。排泄したくなるような環境を整えることが成功への大きな鍵。手順のバックグラウンドにある考え方を知ることが失敗から抜け出す一歩になるでしょう。
【タイムラインの調整】
朝起きたら子犬が排泄物まみれ……という経験をしたことはありませんか?これは子犬が日中に休んで夜間に活動しているタイムラインのズレが原因のひとつです。人は日中に活動しますが、オオカミをはじめイヌ科の動物の多くは明け方や夕方に狩猟を行う習性をもっています。生まれて間もない子犬は家庭犬の経験を積んでいないいわば「イヌ科の動物」。だから夜鳴きをしたり明け方にソワソワしたりするわけです。
まずは子犬のタイムラインを少しずつ人に合わせるために、「リビングで遊ぶ→サークル(ケージ)で休む」というサイクルを約2時間おきに繰り返し、遊びと休みのリズムをつくりましょう。タイムラインの調整はトイレトレーニングだけでなく共生していくうえで大切です。ただし2時間のサイクルは個体差があります。例えばチワワとグレートピレニーズでは、内器官に差異があって必至です。
【住まいの環境整備】
子犬が落ち着いて休めるように住まいの環境を整えます。必要なアイテムの種類と特徴を知っておきましょう。閉じ込める場所ではなく安心できる快適なハウスにすることが重要です。
[住まいに必要なアイテム]
サークル
格子で広いエリアを囲えるアイテム。上部が空いているもしくは開閉できることが多い。出入り口が扉と上部の2箇所にあるため、子犬の管理がしやすい。
クレート
プラスチック製のハウス。軽量で移動時や災害時にはキャリーとしても使用できる。一生使えるハウスとしておすすめできる。
ケージ
四方を格子で覆われたハウス。クレートより広く子犬の管理がしやすい。サークルの代わりにも使えるが、唯一の出入り口の扉に犬が固執して落ち着かなくなることもある。
<サークルのトイレ設置例>
サークルもしくはケージの奥側にベッドを入れたクレートを置き、扉側にはトイレを設置しましょう。子犬にとっては外に出られる扉側の印象がよく行きやすいため、トイレは扉側に置いたほうが成功率を上げられます。「自分のベッドで排泄したくないからトイレへ行く」という消去法によって教える方法です。
- トイレと寝床との距離を保つ
- 置き場所があればサークルを選ぶ(消去法でトイレを選べなくなる、段階を踏めるため)
【トイレの環境整備】
子犬はトイレシートを敷くとかじってボロボロにしてしまいます。誤飲の事故を防ぐためにも、いたずら防止用のメッシュ付きトイレトレーを使いましょう。トイレを覚えるまでは失敗もするので、小型犬でもワイドサイズ以上の大きいトイレシートを選ぶことが大切。小さいレギュラーサイズを組み合わせて広いトイレにすることも可能です。
[トイレシートのサイズの目安]
・レギュラーサイズ:約45cm×30cm
・ワイドサイズ:約60cm×45cm
・スーパーワイドサイズ:約90cm×60cm
子犬のトイレトレーニング②「排泄のタイミングを把握する」
子犬のころは排泄の回数が多い時期。以下のタイミングに多い傾向があるので、サインを見逃さずに排泄のタイミングを把握してみましょう。
1:寝起き
2:食後
3:遊んだ後
加えて、うんちはグルグルと回るしぐさがもよおしたサインです。 子犬には1日に約10回も排泄を教えるチャンスがあると考えて、生後数カ月までの時期にトイレトレーニングに注力すれば、一生のトイレの習慣が身につけられます。
- 決まった指示を言うワンツーが一般的
子犬のトイレトレーニング③「排泄後はトイレでほめる」
子犬がトイレで排泄することに成功したら、肉球がシート(トレー)に乗っている状態でほめましょう。「トイレで排泄が成功すればほめてもらえる」と教えることができ、リビングにフリーにしていてもトイレへ戻る選択をするようになります。 トイレの回数が多い時期には掃除の手間も増えますが、不機嫌な顔で片付けていれば犬はトイレに悪い印象をもってしまい、隠れて排泄するようになることも。トイレが成功したときにほめて、さらにうれしそうな顔で掃除をすれば犬の喜びにもつながります。
子犬のトイレの失敗の原因は、教えられていない、もしくは学習していない、このどちらかです。実は失敗ではないんですよね。オーナーさんは一喜一憂せず、基本に戻って着実にステップアップを目指しましょう。次の【Q&A編】では個々の悩み別に解決法をお伝えします。
- 粗相を怒らない(排泄したら怒られると勘違いして、隠れてするようになるため。)
取材にご協力いただいたスクール
「イヌを理解し、犬の個性を活かす」ことを念頭においたトレーニングを実施する、ドッグトレーニングスクール。2014年の開校以来、犬のしつけや訓練に留まらず、飼い主も共に学べるプログラムを提供。飼い主の日常において、犬が主体的に考察・判断することが可能となることを目標としている。
【Q&A編】はこちらからチェック
子犬のトイレトレーニング 今度こそ成功するコツと具体的な 方法【Q&A編】