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犬の腎臓病の原因は?犬の腎臓病の実態や治療方法も解説【獣医師監修】

犬の腎臓病の原因は?犬の腎臓病の実態や治療方法も解説【獣医師監修】

 
布川 智範
ぬのかわ犬猫病院 戸塚本院
300HugQ
      

犬の腎臓病は様々な原因により腎臓機能が衰えていく病気で、残念ながら死因の上位に上がります。状態によっては完治が難しくなるので、できる限り早くそのサインに気が付き、適切な対応を取ることが大切です。今回は犬の腎臓病について、原因や症状、予防法、気になる疑問などを中心に詳しく解説します。

目次

犬の腎臓病とはどんな病気?

ベッドに寝そべる犬

犬の腎臓病は、腎臓の機能が低下する病気です。短期間に腎臓の機能が急速に低下する急性腎臓病と、腎臓へのダメージが数カ月持続してしまう慢性腎臓病の2種類があります。 急性腎臓病は原因を特定し、適切な治療を行えば回復の可能性がありますが、慢性腎臓病では長期的な管理が必要となります。犬種によっては特異的な腎臓病はありますが、犬種に関わらず加齢により内臓の機能は低下するため、慢性腎臓病は一般的に高齢犬に多いです。

犬の腎臓病について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
Vet’s Advice! 犬の腎臓病【基本編】

犬が腎臓病になったらどんな症状が現れる?

庭で水を飲む犬

犬の腎臓病では初期症状の中に気づきづらいものもあります。日ごろの様子をよく観察し、気になる変化が見られたら病院を受診すると良いでしょう。

急性腎臓病腎と慢性腎臓病の症状は類似しています。腎臓病の症状は一般的に水を飲む量やおしっこの量が増える「多飲・多尿」といったものや、元気がない、食欲の低下、嘔吐や下痢といった非特異的な症状が出ます。急性腎臓病の場合には、体が急激な変化についていけずに数時間から数日のうちに症状が進むことがあります。慢性腎臓病はゆっくりと進行するために変化に気づきにくいです。「なんとなく元気がないのは年のせいだと思っていた」「食事があきちゃったからたべないと思っていた」「言われてみれば痩せてきているな」といった症状を診察時に聞くことが多いです。

犬が腎臓病になったときの治療法

病院で診察を受けるラブラドール・レトリバー

犬の腎臓病は病院で行う治療と、自宅で行う治療があります。

病院で行う治療は、急性腎臓病と慢性腎臓病で異なります。急性腎臓病の場合は、原因疾患の治療がメインとなります。例えば腎臓に感染症がおこってしまった場合には感染症の治療を、結石ができてしまったらその除去などを検討します。原因疾患の治療に加え、腎機能低下によって水分バランスが保てないため、必要に応じて点滴の投与を行います。

慢性腎臓病も原因疾患が特定できる場合にはその治療を行います。原因疾患が特定が困難である場合や線維化などの加齢性の変性の場合には、腎機能を保存する治療がメインとなります。その中心となるのが食事治療です。他にも慢性腎臓病では貧血や高血圧、蛋白尿などが出ることもありますので、それぞれの症状に合わせた治療も必要です。病期が進み、脱水による症状が持続するならば皮下点滴による治療も行うことがあります。

腎臓病の食事について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
Vet’s Advice! 犬の腎臓病【食事編】

犬の腎臓病の予防・早期発見に効果的な方法

ポメラニアンに健康的な食事を与える様子

腎臓病によって腎機能が失われてしまうと再生は難しく、命が危うくなることもあります。愛犬の健康を守るため、病気は早期のうちに発見することが重要です。腎臓病にならないよう、また腎臓病のサインを見逃さないよう日々の生活の中で次のようなことを意識してみてください。

定期的に健康診断を受ける

定期的に健康診断を受け、腎臓病の兆候がないかしっかりチェックしておくことが大切です。健康診断は腎臓病以外の病気の予防にもつながるため、受けることをお勧めします。

また腎臓病になれば、通院や投薬などが必要になります。もし犬が病院を嫌がるのであれば、いざ病気になってしまったときに、通院にストレスがかかることが予想されます。元気な時に日頃から動物病院の環境に慣れたり、スタッフとコミュニケーションをとっておくと良いでしょう。投薬も体調が悪い中行うのは難しいケースもあります。これも元気な時にサプリメントなどを使用して投薬の練習をしておくと良いと思います。投薬の方法はその子その子によってやりやすい方法が異なりますので、動物病院で予めご相談いただくと良いでしょう。

排尿時の観察をする

犬の排尿には、腎臓病のサインが隠れている可能性があります。例えばおしっこの量。急性腎臓病の場合はおしっこをしなくなったり、量が急激に減ったりします。また、腎機能の低下によって体に水分を保持できなくなるとおしっこの量が著しく増えます。飲み水の減り具合をチェックしましょう。体重×100ml以上の水を飲んでいる場合には異常となりますので、病院の受診をお勧めします。

バランスの取れた食事や新鮮な水を与える

バランスの取れた食事や新鮮な水は、腎臓に負担をかけないためにも必要です。日ごろから塩分の多い食事やおやつなどで腎臓に負担をかけると、腎臓にダメージが溜まっていく可能性があります。新鮮な水を常に用意し、特に高齢犬では複数箇所用意してあげると水分摂取を促すことができ、脱水から起こる腎臓への負担を軽減できます。

口腔ケアを行う

犬の口腔ケアも、腎臓病に関連してプラスの影響が期待できます。犬の腎臓病の初期症状として、口臭や口内炎など口内環境の悪化があります。また歯周病のような口内の病気から腎臓病に発展していくことも。日ごろから口腔ケアをしていれば、こうした変化にいち早く気づけるでしょう。

犬の腎臓病に関する知識を深め、愛犬の健康を守ろう

飼い主と元気に散歩をする犬

犬の腎臓病は病状が進むと命にもかかわってきます。腎臓に負担をかけないように日々の生活を意識するとともに、もしものときのために、基本的な知識も身に付けておくことが重要です。腎臓病の予防や治療に関して理解し、愛犬の健康を守っていきましょう。

監修者プロフィール
布川先生のプロフィール写真

布川 智範 先生

ぬのかわ犬猫病院本院 獣医師。日本大学卒、東京大学内科系研修医修了。飼い主とペットの苦しみに寄り添い、その子にとってベストな治療法を見出す姿勢をモットーに、犬猫の高齢化によって年々増加している腎臓病、ガン(悪性腫瘍)、心臓病、呼吸器系疾患などの治療を行っている。
神奈川県 横浜市戸塚区
布川 智範
ぬのかわ犬猫病院 戸塚本院
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