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【獣医師インタビュー】治療も診断も、大切なのはコミュニケーション。木﨑皓太先生が目指す最良の治療とは?②

【獣医師インタビュー】治療も診断も、大切なのはコミュニケーション。木﨑皓太先生が目指す最良の治療とは?②

 
木﨑 皓太
荻窪桃井どうぶつ病院
250HugQ
      

目次

早期発見に力を注ぎ、心臓病であっても
元気に暮らしていけるよう全力を尽くしたい。

柴犬の診察をする獣医師の木﨑 皓太 先生

心臓病といわれると、不治の病のようなイメージがあるのですが…

確かにショックを受けられる方は多いですね。循環器は現代の技術で治せない病気があることは事実ですが、最近は犬の僧帽弁閉鎖不全症が外科手術で治せるようになり、これは動物の心臓病の治療にとって大きな前進だと思います。定期的な検査を行い、適切な時期に外科手術を勧めてあげることで日常を取り戻せる可能性があるということです。動脈管開存症も早期に手術を行えば完治する病気で、当院でも手術をおこなっています。また、手術ができなくても、症状が現れていない初期段階から、進行を遅らせたり、症状が出るのを予防したりできる病気もあります。心臓病の動物のご家族にはこういった情報をたくさん届けていきたいと思っています。

犬や猫に多い心臓病や治療法には、どんなものがありますか?

獣医師の木﨑 皓太 先生

心臓病で多いのは、犬では僧帽弁閉鎖不全症、猫なら心筋症です。犬の僧帽弁閉鎖不全症は手術か投薬、猫の心筋症は投薬が主な治療法になります。他には肺高血圧症や不整脈など神経系疾患との判別が非常に難しく、そのため原因が心臓にあるということが見過ごされてしまうものがあります。僕が診察した中でも「別の病院では何も言われなかった」という方も少なくありません。例えば、失神やふらつきの症状があるペットの場合、循環器の専門知識がないと見極めることが難しく、背景にある病気によって治療法も違ってきます。ペットを救うためには、できるだけ早期に発見するための検査を行い、適切な治療方針を選ぶことが不可欠です。また犬の先天性心疾患のひとつである「動脈管開存症」は放置すると1年の生存率は35%ですが、早期の診断と手術によって完治が期待できます。日本では心臓の小さい小型犬が多いですが、成功率は高い手術です。
今まで僕が執刀した子たちもみんな元気に退院してくれています。これで「この子たちも今まで通りお散歩したり遊んだり、普通の子と変わりなく暮らしていける」と思うと、本当にうれしい気持ちになります。

ペットと飼い主、そして病院で働く人、誰にとっても居心地のいい病院であるために。

獣医師の木﨑 皓太 先生

病院の院長として大切にしていることはありますか?

開院したときからずっと目指しているのは、ペットやご家族はもちろん、働く獣医師や看護師にとっても居心地のいい病院であること。そのために何が必要で、どんなことができるか、日々、考えています。病院では今、動物の行動学のトレーナーに来ていただき、しつけやトレーニングに関する悩みや相談に応える機会をつくっています。それも看護師からの提案です。
オーナーさんも病気や診察内容とは直接関係のないことだと、疑問に思っていることがあっても獣医師には話しづらかったりしますよね。例えば、おやつは食べるのにペットフードは残すとか散歩中に拾い食いするのをやめさせたいなど、しつけの教室を設けたことで、日常的な悩みや気になることを飼い主さんと看護師が自然に会話しながら相談&アドバイスできる関係づくりができたのは、とてもよかったと思います。また、教室を始めたことで、「飼い主の方から名前で呼ばれるようになった」と、看護師のモチベーションアップにもつながっています。
病院は獣医師と看護師にとっては職場でもあるので、そこにいるみんながイキイキと働ける環境をつくっていきたい。居心地のいい雰囲気や空気を生み出すのは、やはり人ですから。

先生はSNSを活用した情報発信も積極的に行われています。

これだけ多くの情報があふれている今、獣医師が正確な情報を発信する意義は大きいのではないかと。SNSでは夏場のペットの熱中症対策など、その時期に気をつけたい病気やトラブルの予防法、また心臓病を抱えるペットオーナーさんに向けた情報など、飼い主の方に少しでも役立つ情報を提供しています。SNSだとコメントしやすいので、この病院に来ることのできない飼い主の方からも質問や相談が寄せられます。飼い主さんが本当に知りたいこと、求める情報を知ることができるのは、より良い診療を考える上で、とても役立っています。

最後にオーナーさんへのメッセージをお願いします。

たとえ心臓病であっても、今は新しい手術方法や新薬の開発も進んでいるので、これまで通りの暮らしを維持できる治療法の選択肢はあります。僕の病院で飼っている犬の「こぶちゃ」、猫の「ほうじちゃ」も先天性の心臓病ですが、手術と投薬治療で、普通の子と変わりなく過ごしています。ペットの様子をいつも見ているご家族には、早期発見・治療をかなえるためにも、病気の疑いがある症状を知っていただくことも大切です。例えば、寝ているペットの胸の動き、呼吸の様子を注意して見ることは、異変に気づくことにつながります。「散歩中に息切れして疲れやすい」、「寝ている時間が長い」など、どんなことでも気になることがあれば相談に来てほしいと思います。

(左)荻窪桃井どうぶつ病院(右)杉並動物循環器クリニック 荻窪桃井どうぶつ病院杉並動物循環器クリニック

東京大学附属動物医療センター・茂木朋貴先生のバトンへの回答

茂木先生茂木先生

Q1. 循環器の専門医を目指そうと思ったきっかけは何ですか。

木﨑 皓太 先生木﨑先生

獣医師になろうと決めたときから、専門を持ちたいと思っていました。多分野の診療をこなさなくてはいけない中で「これだけはなんでも任せてください!」という分野が欲しかったからです。また、自分の役割がはっきりして、他の獣医師と協力しやすいという場面もあります。なぜ循環器かというと、最初の職場で学ぶ機会を与えていただいた心臓超音波検査で心臓に興味を持ち、大学での研修で循環生理学にさらに興味を持ったからです。

茂木先生茂木先生

Q2. 病院を運営する上で、一番の気苦労は何ですか。

木﨑 皓太 先生木﨑先生

獣医師だけでなく、看護師、スタッフの誰もがやりがいを持って長く働ける環境をつくる難しさでしょうか。例えば、スタッフの発案で行動学のクラスを始めたことは、看護師のモチベーションにつながっています。このような取り組みを続けていくことで、結果的に当院に来院されるペットやそのご家族にとってより良い動物病院にしたいと思います。

茂木先生茂木先生

Q3. 今後の人生で、まだやってみたいことはありますか。

木﨑 皓太 先生木﨑先生

今も全国の病院の出張診療を行っていますが、今後は同じ循環器の専門医がチーム体制で出張診療ができるネットワークをつくりたいです。たとえ僕に何があっても(苦笑)、心臓病の手術や治療が必要な動物たちを救える専門医が駆けつけられるように。

動物病院47グループ・園田祐三先生へのバトン

Q1. 京都での開業から今では他県にも病院を展開したり、総合医療センターを開院したり、とご多忙だと思いますが、先生を突き動かしている1番の原動力は何でしょうか?やりがいを感じていることなどを教えてください。
Q2. たくさんのスタッフがいて、いろいろな考え方があると思いますが、どのように統率をとっているのでしょうか?また、苦労したことなどがあれば教えてください。
Q3. 動物病院47グループの代表として、また一人の獣医師としての今後の目標をお聞かせいただけないでしょうか。

東京都 杉並区
木﨑 皓太
荻窪桃井どうぶつ病院
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