思いもかけない経路から侵入して、大切な愛犬・愛猫に悪さするノミ・マダニ。「万全ですか?うちの子のノミ・マダニ対策【NGケース編】」では、薬を使わない方がいいケースや日々気をつけたいことなど、ノミ・マダニ対策の疑問・質問について、オシャペットクリニック院長の高木俊輔先生にお答えいただきました。
高木 俊輔 先生
獣医師が教える!ノミ・マダニ駆虫薬、NGのケースとは?
ノミ・マダニ対策は、完全な室内飼いでも必要ですか?
完全な室内飼いであっても、飼い主さんが家の中に持ち込まないとは言いきれません。外に出かけた際に、飼い主さんの洋服や靴底などに付着し、家の中に持ち込んでしまうケースもあります。
「外には出さない」「他のペットとも接触しない」「コストもかかるし…」と対策を控える方もいますが、ノミに刺されるとペット自身のストレスになりますし、マダニに咬まれるとペットの健康を害するばかりか、人にとっても危険です。
そうなると、逆に治療のためのコストや時間がかかることになってしまうので、できれば1年を通して対策してあげたいですね。
なるほど。それでも駆虫薬を使わない方がいいケースもあるのでしょうか?
処方する駆虫薬は妊娠動物での安全性は確認されていますが、注意は必要ですね。また持病で、てんかんを患っている子に使うときも注意が必要です。豚や牛のエキスといった薬のフレーバー付け成分などにアレルギー反応を起こす場合もあるので、使用前に獣医師さんとよく相談してくださいね。
あとは、子犬・子猫の場合も、生後何ヶ月から使用可能など薬ごとに指定があります。僕のクリニックでは、初年度の混合ワクチン接種が完了した時期に合わせて処方していますが、それよりも月齢の低い子にノミが見つかったときには、スプレータイプの駆虫薬で対処しています。
「うっかり投薬を忘れてしまった」という場合はどうしたら良いでしょうか?
駆虫薬は1ヶ月、3ヶ月など効果が持続する期間がそれぞれ違いますので、使用を忘れた場合は、気づいたときからいつものスパンで再開してください。駆虫薬には適切な投与量がありますので、くれぐれも過剰な使い方はしないように。カレンダーに記録をつけておくと忘れず安心ですね。
ノミ・マダニ駆虫薬使用のポイント
- 1. 経口剤、スポット剤があるので、その子に合ったタイプを選ぶ
- 2. 持病などがある子は、使用前に獣医師と相談して!
- 3. 忘れたときもあわてずに、使用頻度と量を守ること
多頭飼育で、他の子に使ったスポット剤を舐めてしまう恐れがある場合には、薬剤を使った日はケージや部屋を分けることなどで対応するといいですね。
ノミ・マダニ取り首輪が市販されていますが、実際の効果はどうなんでしょう?
市販のノミ・マダニ取り首輪は、虫を寄せつけない忌避剤を使っていることが多く、動物病院で扱う駆虫薬とは効果が異なります。また、ノミは犬や猫の腰のあたりを好んで棲みつく傾向があるため、首輪だと効果が届かないこともあります。とはいえ、医薬部外品として承認されている製品ですので、かかりつけの獣医さんと相談してみるのがベストでしょう。
ノミ・マダニ対策は、日頃から気をつけないといけないことなんですね。
ノミはペットだけではなく、人間にも悪さをしますからね。激しい痒みを起こすばかりか、猫にひっかかれたりかまれたりして発症する「猫ひっかき病」の原因となるバルトネラ菌を媒介することも知られています。 またマダニに咬まれると、激しい痒みを起こすばかりか、命にもかかわる重篤な病気にもつながりかねません。ペットと飼い主さんの健やかな毎日のために、ぜひとも気を配ってあげてください。