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愛情でここまで進んだ日本の動物保護。あと一歩で、奪われる命はゼロにできる ②

愛情でここまで進んだ日本の動物保護。あと一歩で、奪われる命はゼロにできる ②

 
太田 快作
      

目次

失われる命をなくすために、オーナーたちができることとは

獣医師の太田 快作 先生に抱っこされる保護猫キジちゃん美人な保護猫キジ(仮)ちゃんは現在4か月(取材時)

一般のオーナーは、「動物たちも一緒に幸せになれる社会づくり」のために、何ができるのでしょうか?

できることは、たくさんあるんです。例えば、保護動物の預かりボランティア(正式な譲渡先が決まるまで保護動物を自宅で預かる役割)になってくださることで、たくさんの命が救えます。先ほど、動物病院で数匹ずつ保護すれば「殺処分ゼロ」は実現できるという話をしましたが、動物病院と預かりボランティアさんで手分けして保護することができれば、より早く目標は達成できるはず。例えば、健康な子は預かりボランティアさんで、医療行為が必要な子や特別なケアが必要な高齢の子は、施設もスタッフもそろっている動物病院で保護するなど、ぜひ協力して目標を達成したいですね。
さらに、動物のお世話経験があるオーナーの皆さんは、実は、安心できる譲渡先候補でもあります。もし、もう1匹飼ってもいいかなと思える場合には、保護犬、保護猫たちも候補に入れていただけるとうれしいです。
また、保護活動には医療費や設備費(シェルター維持費)など多大な費用がかかります。だからこそ、アニマルドネーションさんのような団体を通じて寄付をしていただくことも一つの支援になると思います。
ただ何よりも、動物を飼っているオーナーの皆さんにお願いしたいことは、今、目の前にいる子たちに愛情を注いで、最後までお世話をしてあげてください、ということですね。それこそが一番大事だと思います。

先生自身は、今後、どのような活動をしていこうと考えていますか?

動物保護に取り組むことは獣医師として当然の責任だと、僕は考えています。だからこそ、活動そのものに真摯に取り組み、また、僕にできることがあるのならば、講演や取材などの依頼にも応え啓蒙活動もしていきたいと考えています。
ただ、最初にもお話しした通り、僕自身は保護活動をしているという意識があまりなくて(笑)。自分で発見しようが、誰かが連れてこようが、ここに来れば僕が助ける、それだけなんです。僕個人の価値観でやっていることで、義務感かと言われればそうではない。目の前の犬や猫は、可愛いし、助けてあげたい。たまたま僕は、獣医師の免許を持っていて設備があるからやれることが多いだけで、オーナーの皆さんと同じ、ただの犬好きなんですよね。
ですのでこれからも、一人の犬好きとして、救える命を救っていきたいと思っています。

爪を立てる保護猫サビ(仮)ちゃんと、そんなことはお構いなしで抱っこする爪を立てる保護猫サビ(仮)ちゃんと、そんなことはお構いなしで抱っこする太田 快作 先生爪を立てる保護猫サビ(仮)ちゃんと、そんなことはお構いなしで抱っこする先生

Message for Pet Owners
太田快作先生からのメッセージ

オーナーの皆さんは、ぜひ、今、目の前にいる愛犬、愛猫と過ごす時間を楽しんでください。動物を飼っていない人からすると、その時間は本当にうらやましいものです。動物と一緒に過ごす時間はどうしても有限で、いつかは終わりが来てしまいます。だからこそ、その子と出会えた縁を大切に、その愛おしい時間をどうかお互いに楽しんでほしいと思います。

日々お世話をしてくれるスタッフに懐いている保護っ子たち注射などをする先生よりも日々お世話をしてくれるスタッフに懐いている保護っ子たち。その様子をうらやまし気に見つめる太田先生

取材時にハナ動物病院で保護していたのは、噛み癖がひどいため保護されたというトイプードルのロビンちゃんと、高齢の飼い主が亡くなり近所を徘徊していたところを保護されたという盲目のトイプードル、チョコおじいちゃん。そしてTNR※により保護中という、子猫のサビ(仮)ちゃんとキジ(仮)ちゃんの合計4匹でした。彼らは、ここで太田先生とスタッフの皆さんのケアを受け、それぞれに生きる場所を探していくのだといいます。

お話の中で何度も「ただ動物が好きなだけ」と口にした太田先生は、決して自分が特別な存在であるとは考えていませんでした。目の前の命を救いたい、獣医師として当たり前のことをしているだけ。インタビュー中も、足元をヨタヨタと通り過ぎるチョコおじいちゃんに、そっと目を向けていた太田先生。その言葉の隅々に動物たちへの愛情があふれていました。

※TNRとは、「Trap(捕獲する)」「Neuter(不妊去勢手術する)」「Return(元の場所に戻す)」の略語。地域猫に対する活動の1つであり、このTNR活動は猫の殺処分を減らすのに最も有効な手段と考えられています。
詳細はアニマルドネーションHPにて
https://www.animaldonation.org/environment/domestic/issue-of-animal-welfare/

太田先生の愛犬、花子ちゃんの写真やグッズが所狭しと並ぶハナ動物病院内には、2019年に18歳で亡くなった太田先生の愛犬、花子ちゃんの写真やグッズが所狭しと並ぶ(多くはここに通うオーナーさんたちからのプレゼント)。また、犬猫捜索チラシや譲渡会のお知らせなども壁に多数貼られていた

ハナ動物病院 ハナ動物病院 東京都杉並区梅里2-28-4 梅里MSビル1F

Column

先生の力強いサポーターをご紹介!
保護動物たちのトリミングをしている「FAMEDOG.」の杉下圭さん

保護動物たちのトリミングをしている「FAMEDOG.」の杉下圭さん

動物たちをキレイにしてあげることが、よい出会いにつながれば

ハナ動物病院からほど近い場所にある「FAMEDOG.」は犬と猫のトリミングサロンです。オーナーでトリマーの杉下圭さんは、このサロンを開いた当初から、太田先生の保護活動に協力をしてきた人物。ぜひ、トリマーや動物業界で働く人たちが、自らにできることを生かして、保護活動に積極的に参加してくれるようになるとうれしいと語ってくれました。

「太田先生のことはもちろん知っていて、開店時にご挨拶に伺った際に何かできることがあればぜひ協力させてくださいと伝えていました。地域の保護活動に少しでも貢献できればと思っていましたし、これまで高齢のお客様から飼えなくなった犬を引き取ったり、保護犬を飼っていたりしていたので保護活動にはなじみがあったんです。僕の仕事は命を救うことができるわけではありません。でも、太田先生と連携しつつ、譲渡会の前などに保護猫ちゃん、保護犬ちゃんをトリミングでキレイにしてあげることで、彼らを救う手助けはできます。トリミングによって彼らにいい出会いが訪れれば、こんなにうれしいことはありません」

FAMEDOG.

FAMEDOG.

FAMEDOG.の看板猫たち

FAMEDOG.の看板猫グラミーちゃん(ミックスの保護猫)

FAMEDOG.の看板猫ミッケちゃん(スコティッシュフォールドの保護猫・心筋症のため引き取り手が見つからないだろうという話を保護団体から聞き、杉下さんが引き取ることに)

Total Salon & Hotel for Dogs & Cats FAMEDOG. https://www.instagram.com/famedog03/

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