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【あの人の犬ぐらし vol.2】ありのままの君が好き。Note出身の人気作家 岸田奈美さんの「犬ぐらし奮闘記」3

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入交 眞巳
      

目次

分離不安は治るのか!? 梅吉くんの気持ちに迫る!
動物行動学者で獣医師の入交先生のアンサー&アドバイス

インタビューでは、さまざまな悩みについてお話をしてくれた岸田さん。その悩みの数々に、獣医師であり動物行動学の専門家である入交眞巳先生がアドバイスをくださいました! 梅吉くんはどうしてあんなに吠えてしまうのか。分離不安なのか。ぜひ皆さんも一緒に梅吉くんの思いについて考えていきましょう。

プロフィール

入交 眞巳 先生

米国獣医行動学専門医。学術博士動物病院に数年間勤務した後、アメリカに留学。。アメリカ・インディアナ州立パデュー大学で博士号取得。ジョージア州立大学獣医学部にて獣医行動学レジデント課程を修了。帰国後、北里大学動物行動学研究室専任講師、日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科講師を経て、「どうぶつの総合病院」行動診療科 主任・東京農工大学 特任講師。
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入交先生

まず、岸田さんのお話を伺って、梅吉ちゃんはとっても幸せな子だなぁと感じました。岸田さんは、「もっとちゃんとしつけをしておけば」とずいぶん悔やんでいるようですが、ぜひ、そんなに悩まないでください。これだけ自分のことを考えてくれる飼い主さんに出会えたというだけで、梅吉ちゃんはとってもラッキーな子です。

ADVICE入交先生のアドバイス

怖がりだから、吠えてしまうのかも

直接、梅吉ちゃんに会っていないので確実なことは言えないのですが、岸田さんのお話から、梅吉ちゃんはとっても怖がりな性格なのかもしれないと感じました。お散歩や動物病院などで周囲の人や犬に吠えてしまうのは「誰なの? どうしたの? これからどうなるの? 怖いよ!」と言っている可能性もありそう。不安だからこそ、後追いをしたり、家族全員が留守だとどうすればいいかわからず、吠えてしまったりするのかもしれません。
分離不安かもしれないということですが、お留守番の際に、おやつを置いていっても全く食べていないようであれば重度の分離不安が疑われます(食べているけど、吠えたりしてしまう場合は軽度の分離不安かも)。重度の場合は、お薬を使って改善していくことも選択肢にいれてみましょう。

パニックが見られるときは、専門家に相談し薬を使った治療を

お留守番や外出の際に興奮しすぎている場合は脳内でブレーキがきかない、いわゆるパニック障害のような状態になっていることも考えられます。自分では抑えきれない興奮、衝動に梅吉ちゃんも辛い思いをしているのかも。その場合にはお薬を使ってあげることが有効です。専門的な薬は一般の動物病院には置いていないこともありますので、動物行動学の専門医に相談することも考えてみましょう。神戸や京都には訪問診療をされている専門医の先生もいますので、ぜひ検討してみてください。
日本獣医動物行動研究会 http://vbm.jp/syokai/

7歳でも、症状の改善を諦める必要はありません

人間がいくつになっても大学に行って学ぶことができるように、ワンちゃんもいくつになっても学ぶことができます。7歳からでも十分トレーニングは可能。ただこれまでの習慣、考えを上書きするのに多少時間がかかるのは確かです。じっくりと向き合い、一つひとつ「大丈夫だよ、安心していいよ」と梅吉ちゃんの不安を取り除いてあげると、いい方向に向かっていくはずです。

今後の梅吉ちゃんの住環境についてのアドバイス

ご実家の環境について、家族以外の人が家に入ってきたり、いつもと違う行動をとったりすることが多く、環境に一貫性が出にくいのであれば、それが梅吉ちゃんの不安を増長している可能性もあります。梅吉ちゃんはおそらくルーティンが大好きなので、「いつもと違うこと」が大きなストレスになることも。今後の環境を考える際には、「イレギュラーなことが起こりにくい」という点を考慮してあげるとよいかもしれません。
ただ、どんな対策をとるにしても岸田家の皆さんの生活、事情もありますので、無理のないように進めてくださいね。獣医師、専門医やトレーナー、ペットシッター、ペットホテルなどの手も借りてもよいと思います。みんなが心地よく暮らしていける方法を選びとってください。

お座りしているトイプードルの梅吉くん

ADVICE入交先生の不安改善レッスン

●後追い改善トレーニングは「コマンド」を大事に

ワンちゃんは、急に飼い主さんがいなくなるとびっくりしてしまいます。そんなときには、「トイレだよ」「マテ」などコマンドとなる言葉をかけてから席を立ち、必ず戻ってくることを何度も繰り返し教えてあげましょう。次第に「マテ」=「少しいなくなるけど、必ず戻ってくる」と理解して、安心して待っていられるようになります。

●留守番トレーニングは、楽しみを用意して

知育トイなど長く遊ぶことができる楽しみを用意して、遊んでいる間にいなくなる、というトレーニングをしていきましょう。ノーズワークマットにフードをちりばめてたっぷり遊ばせるのも〇。(先生おすすめのおもちゃはこちらでもご紹介中)最初は遊んでいる間に岸田さんが別室で1時間だけ執筆をするなど、短時間の不在から始め、落ち着いてきたら徐々に不在の時間をのばして、外出へとステップアップしてみましょう。

●お散歩トレーニングは、おやつで気をそらせて

散歩にもおやつを持参しましょう。吠えそうになったら「ダメダメ!」と大きな声を出すのではなく、「梅吉ちゃん」と名前を呼んでアイコンタクトをします。できたらおやつをあげましょう。ただ、かなり吠えて興奮するような場合は、まず相手から距離をとるのが先決。Uターンしたり、わき道にそれて刺激から遠ざけ、安心できた場所でおやつをあげて。「相手がいても、ママと一緒に逃げたら安心」ということを覚えさせます。
また、周囲の犬や人が見えたら、すかさず小さいおやつを1-2秒に1回くらいあげ続け、一緒に犬や人のそばから立ち去るのも〇。「吠えずにいられたらいいことがある」と教えてあげましょう。食べすぎにならないように、使用するおやつは3mm位に小さく切って使ってみてください。怖がっているときに連続で与える方法が、学習を早めます。また、おやつではなく、普段のご飯であるフードを報酬として使っていただくのもおススメ。朝ごはんを軽めにして残りのご飯をお散歩にもっていきましょう。

さまざまなトレーニングの仕方がありますが、怖がりな梅吉ちゃんには、ほめて伸ばすトレーニングがよさそうです。たくさんほめながらトレーニングをしてあげてください。

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入交先生からのメッセージ

ペットの悩みは言い出しにくいものです。岸田さんがこうして語られることで、勇気づけられる方も多いのではないでしょうか。飼い主さんが自分のことで真剣に悩んでくれることは、ペットにとって幸せなことです。素敵な家族に囲まれている梅吉ちゃん、これからも家族と一緒に楽しく過ごしてほしいと願っています。

リモートでインタビューを受けている女性

入交先生のアドバイスには、「愛犬の気持ち」を察するためのヒントがたくさん隠れていましたね。ぜひ、皆さんの「犬ぐらし」の中で役立ててみてください。

「この先どんなことがあっても、梅吉には幸せでいてほしい」インタビューでは、悩みながらも梅吉くんの幸せを一心に考えている岸田さんの姿が印象的でした。味方をつくるために岸田さんはこれからも書き続ける。きっとそれは、さまざまな困難を乗り越えてきた岸田さんならではの梅吉くんへの愛の形なのだと感じました。

もっと、岸田さんと梅吉くんのお話が読みたい!と思った方は、ぜひこちらから

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