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とにかく活発で遊び好き! 心臓手術を乗り越えたトイプードル・ロナちゃんと獣医師・八田先生の暮らし方

とにかく活発で遊び好き! 心臓手術を乗り越えたトイプードル・ロナちゃんと獣医師・八田先生の暮らし方

 
八田 嘉朋
      

「Vet’s Dogs~獣医の犬の飼い方~」は、様々な種類の犬を飼っている獣医師の先生のもとを訪れ、実際に愛犬とどのような暮らしをしているのかを紹介していく企画です。動物のプロである獣医師たちは何を大切にし、何に注意してペットライフを送っているのでしょうか。犬種ごとに特徴のある犬だからこそ、その違いにも注目していきたいと思います。
今回取材したのは、トイプードルのロナちゃんと暮らすハロー動物病院 総院長で獣医師の八田嘉朋先生。先天的な心臓疾患を持って生まれたロナちゃんとの出会いから現在の暮らし方までたっぷりと伺いました。

プロフィール

八田 嘉朋 先生

獣医師。幼い頃から動物が好き。高校時代、公務員の父に進路相談をしたところ獣医師を勧められ獣医学部を目指すことに。酪農学園大学に進学し、卒業後は都内動物病院に勤務。その後平成元年に船橋二和にハロー動物病院本院を開院し、院長に就任した。平成21年には新鎌ケ谷にハロー動物病院分院を開院し、地域に根ざす動物病院として多くの動物たちの健康を守っている。これまで自身が飼っていた動物歴はゴールデン・レトリーバー、チワワ、トイプードル。
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目次

生きるために手術を乗り越え、家族の一員になったロナちゃん

先生はこれまで、どのような動物と一緒に暮らしてきましたか?

幼い頃から動物が好きだったのですが、実家では動物を飼っていませんでした。そんな私が30歳の頃、初めて飼ったのはゴールデン・レトリーバー。獣医になったばかりの頃は忙しくて犬を飼う余裕がなかったのですが、自分の病院を持つことになり、ようやく迎え入れたという感じですね。ただ、大きくて家の中では飼うことができず、病院で飼っていたので家族とは少し距離のある飼い方ではありましたね。
その子が亡くなって少し経った頃、娘と妻の希望もあってチワワを迎え入れることになりました。付き合いのあるブリーダーさんから依頼されて帝王切開で私が取り上げた子で、小型犬ならではのかわいさがありましたね。この子は家の中で飼っていたので、家族と一緒に眠ったり、リビングでくつろいだり、本当に家族の一員のように暮らしていました。

下から上を見上げる白いトイプードル

その子が亡くなってからはずっと動物は飼っていなかったのですが、2020年3月にふとした縁でうちに来ることになったのが、現在飼っているトイプードルのロナです。もともと私は、長毛種の大型犬が好きだったので、まさかトイプードルを飼うことになるとは思ってもみませんでした(笑)。

ロナちゃん 2019年12月24日生まれ まもなく2歳・女の子

ロナちゃんとは、どのようにして出会ったのですか?

ロナも付き合いのあるブリーダーさんで生まれた子だったのですが、生後2ヶ月の健診で心雑音があり、ブリーダーに残されることになったんです。よく調べてみると、心臓に先天的な奇形がある動脈管開存症という病気で、手術しなければ長くは生きられないということがわかりました。できるだけ早めに手術を行わなくてはならなかったのですが、生まれて数ヶ月では少し早過ぎる。もう少し体調が安定してから手術をしようということで、手術までの間、私が預かることになりました。
この子がうちに来た2020年3月は、新型コロナウイルス感染症による一度目の緊急事態宣言中。学校なども休校になるなどまさに世間はコロナ一色でした。ロナはその時期にうちに来たので、コロナの「ロナ」に(笑)。まだ本当に小さくて手術が成功しなければ生きられない体ではありましたが、何とか元気に、病気に負けないで育ってほしいと思っていました。

インタビューを受けている男性獣医師

家族にとって、ロナちゃんはどんな存在になっていきましたか?

うちに来たばかりの頃は、手術が成功したとしても手放すことになるかもしれないと思って、皆なるべく情が移らないようにしていたんです。少しクールに接するというか「うちの子」ではなく、「預かっている子」という距離感を保っていました。
しかしロナは心臓に病気を抱えているとは思えないほどに、ちょこちょことリビング中を動き、みんなに撫でてもらい、遊ぼう遊ぼうと私たちの後ろをついて回るんです。その姿がかわいくて皆すっかり癒されてしまい……。手術する頃には「もう手放せない」という感じになっていました。新型コロナの流行で社会も家の中にも閉塞感があった中で、家の雰囲気を明るくしてくれる活発なロナは、家族にとってどんどん大きな存在になっていきました。

飼い主とじゃれている白いトイプードル

心臓手術をしたのは、ロナが生後6ヶ月のときです。手術の成功率は50%程度だと家族には伝えていました。私は以前に大型犬で同じ手術を経験していましたが、体も内臓の大きさも全く違うのでかなり緊張する手術になりました。
手術が無事に終了した後は、家族皆で順調な回復をとにかく祈りましたね。術後は妻と娘がロナに一晩中付き添い、翌日、ロナが起き上がってごはんを食べたときには何よりほっとしました。その後、順調に回復してようやく散歩にも出られるようになった頃には、ロナはすっかり「うちの子」になっていました。

飼ってみてびっくり! トイプードルの元気には圧倒されます

これまで飼っていた子たちと比べて、トイプードルのロナちゃんはどんな子ですか?

インタビューを受けている男性獣医師

ゴールデン・レトリーバーはとにかく体も大きく、力も強かったので独特の存在感があり、それがかわいかったですね。一方チワワは小さくて家の中でもずっと一緒にいたので、家族の一員という感じが強くありました。ただ動きはトイプードルほど素早くはなく、とことこ気ままに動き、ベッドや人の膝の上でくつろいでいることが多かったように思います。
それに比べてロナはとにかく明るくて活発で元気そのもの。いつもちょこちょこ家の中を動き回り、おもちゃで遊んだり、誰かを遊びに誘ったり、じっとしていませんね。
トイプードルは活発だと知ってはいましたが、犬種でここまで性格が違うんだと実感し、驚きましたね(笑)。ロナは人懐っこくてフレンドリーなので、「かまってかまって」とぴょんぴょん跳んだり、ボールを追いかけてリビングを走り回ったり、見ていて飽きません。

特に好きなのは、おもちゃを投げる遊びです。投げてやると喜んで取りに行き、あっちに行ったりこっちに行ったり、楽しそうにしています。やっぱりもともと水鳥の狩りをしていた犬種なので、その名残なのかもしれないなと見ていて思います。

歯と心のケアで、愛犬の“ずっと元気に”を叶えたい

ロナちゃんの体調やケアなどで気を付けていることはありますか?

現在は心臓の病気はすっかり良くなったので、散歩も普通に行けますし、体調は整っています。心臓の手術の後で体調が落ち着いてから避妊手術も行い、同時に残っていた乳歯や犬歯も抜歯しました。全身麻酔のタイミングで両方実施する方が、リスクが少ないという判断です。
特別なことはあまりしていないのですが、特に気を付けるようにしているのは歯のケアです。ロナの歯磨きは私の担当。なるべく毎日、少なくとも2日に1回は必ず歯磨きをしています。なぜ歯のケアに力をいれているかというと、これまで診てきた多くのワンちゃんの中で、長生きしている子は特に歯がきれいと感じているからです。

飼い主に甘えている白いトイプードル

歯が悪くなるとどうしても食欲が落ちてしまい元気がなくなったりするのですが、いつまでも歯がきれいで咀嚼がしっかりできると食生活が整います。だからこそ長生きできるのではないでしょうか。ロナにもいつまでもごはんを美味しく食べて、元気でいてほしいので歯のケアには気を付けるようになりました。

歯ブラシなどのケアグッズはどんなものを使っているんですか?

指に入れて動かせるタイプの歯ブラシを使っています。歯磨きペーストなどは使わず、ブラシだけで磨いていますね。特にペーストなどなくても、それだけで歯垢を取り除くことはできますので、特別なものは使っていません。
歯石がたまるとそれを取り除くために、動物病院では全身麻酔をして処置をします。これは犬にとっても負担になりますので、できれば毎日少しずつケアをしてあげたいですね。

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オーナーさんから「どうしても歯磨きさせてくれないんです」と相談をされることも多いのですが、毎日少しずつ口に触ることから慣らしていきましょう、とアドバイスしています。皆さんすぐに口にブラシを入れてしまいがちですが、焦りは禁物。愛犬がいつまでも元気に長生きできるように、ゆっくり少しずつ歯のケアに慣れてもらうようにしてほしいと思います。

ふせている白いトイプードル

Point長寿のための愛犬の歯のケアポイント!

  • 1. できれば3日に1回は歯のケアを
  • 2. 歯磨きペーストなし、歯を磨くだけでOK
  • 3. 歯ブラシが嫌いな子は、口を触ることからゆっくり根気強くスタート

One Pointアドバイス

歯のケアグッズはたくさんあるので、使いやすいものを選んでください。上達のコツは「できたら盛大に褒める(ごほうびをあげる)」こと。歯磨きが苦手な子は口に触れられただけでもたくさん褒めて、歯磨きタイムを嫌いにならないようにしてあげましょう。無理やりは厳禁です。

日々の観察で健康チェックを。ロナが1人になれる時間も大切に

毎日の健康チェックはどうしていますか?

日々しっかり行うのは、歯のケアくらいですね。あとは、ロナが遊んでいる様子や歩き回る様子を見て、気になる点がないか確認します。さらに食欲が落ちていないかもチェックするなど、毎日の暮らしの中での様子を観察しながら健康管理をしています。
また、ロナには病院スタッフのエコー実習犬としても活躍してもらっているので、内臓のチェックはその際に定期的に行うことができます。結構忙しくて多いときは週1回エコーされていますね(笑)。

インタビューを受けている男性獣医師

その他、健康のために食事や運動などで気を付けていることはありますか?

運動については家の中でボール遊びをしたり、散歩にいったり。散歩は決められた時間などはなく、行けるときに行くスタイルです。
食事に関しては、栄養が偏らないようにドッグフードをあげています。ロナはドライフードよりもウェットフードが好きなのですが両方食べてほしいので、ドライフードとウェットフードを1日4回に分けてあげています。回数は多いのですが、一日量を4回に分けているのでカロリーオーバーにはなっていません。

飼い主とじゃれている白いトイプードル

また、心の健康を守るという意味では、ロナが1人になる時間を作るようにしています。犬は人のそばにい過ぎると、1人が不安で留守番ができなくなったり、分離不安症という不安障害になってしまったりします。だからこそロナは、人と一緒のベッドではなくリビングの自分のハウスで眠るようにしました。そのおかげか今では留守番もできますし、1人になりたいときは自分からハウスに入って落ち着いて休むことができるようになりましたね。

サークルから顔を覗かしている白いトイプードル

コロナ禍で在宅勤務が増え、家でずっとペットと一緒にいられるようになって分離不安の子も増えてきているように思います。こんな時代だからこそ、特にオーナーさんが上手に「ペットが1人になれる時間」を作ってあげることが大事だと感じます。

トイプードルに多いのは骨折などの怪我。その予防策は?

トイプードルはどんな症状で動物病院に来る子が多いのでしょうか?

トイプードルに多いのは骨折や脱臼などですね。小型犬は特に先天的な膝蓋骨脱臼が多い傾向があるので注意が必要です。トイプードルは特に骨が細いわりに運動能力が高く、飛んだり跳ねたりする力もあるので、ふとしたときに転んで脚を痛めてしまうことが多いんです。病院で診ていた子たちも、室内で椅子やソファの上からジャンプして降りようとした際に脚を骨折してしまったり、階段の上り下りをしている途中に脚を滑らせて怪我をしたりしていました。

飼い主の足元にいる白いトイプードル

たまにあるのは、足元に素早く駆け寄ってきた愛犬に飼い主さんが気づかず、うっかり脚を踏んで骨折させてしまうケース。身軽で動きが素早いからこそ、こういった接触トラブルも起こるので、オーナーは足元にも注意していなくてはいけません。
トイプードルはじっとしていられない性格ゆえに、安静が必要な怪我は治りにくかったり、治療でストレスがたまってしまったりするので、できるだけ怪我をさせないようにしたいですね。

ロナちゃんの怪我防止策など、工夫していることがあれば教えてください。

お座りしている白いトイプードル

ロナは椅子やソファの上に、ジャンプして上らないようにしつけています。正確にいえば、妻が根気強くそう教えてくれています(笑)。運動能力的にはロナなら絶対にソファにも椅子にもジャンプして上れるのですが、上らせたことがないので、ロナはきっと「上れない」と思っていますね。今では自分から登ろうとジャンプしたりしません。また、階段についても自分で上り下りさせないようにしています。どんなに気を付けていても階段など滑りやすいところでは、いつ不慮の事故が起こるかもしれないので。

トイプードルのように運動能力が高く身軽な犬種は、家の中での転倒対策について考えておくことが大切です。つるっとしたフローリングなどは特に注意が必要ですね。ロナの生活範囲であるリビングの床は無垢材。この素材であれば、今のところロナは滑ることはない様子です。ただ、年をとると滑りやすくなるかもしれないので、そうなる前にカーペットを敷くなどの転倒対策はしておかねばと考えています。シニアになってから骨折すると治りも遅いですし、何より体力が奪われてしまいますから。

Point骨折などの怪我から愛犬を守るためのポイント

  • 1. 高いところに自分で上らせない
  • 2. 階段の上り下りは抱っこで
  • 3. 滑りやすい床材の場合はカーペットを
  • 4. オーナーの足元に忍び寄る愛犬に注意を

One Pointアドバイス

大丈夫と思っていても、ふとしたときに起こるのが事故です。危ないことはさせないように普段からしつけておくと、ひやりとすることも少なくなりますよ。

ありがとうございました。最後にトイプードルのオーナーの皆さんへメッセージをお願いします。

飼い主に抱っこされている白いトイプードル

個体差もありますが、トイプードルは明るく活発でフレンドリーな子が多いです。好奇心旺盛でお出かけなども大好きという子もたくさんいるのではないでしょうか? 最近はドッグフレンドリーな場所が増えているので、ぜひ、旅行やアウトドアレジャーにもワンちゃんを連れていってあげてほしいですね。ロナもそろそろキャンプデビューさせたいと考えているのですが、様々な場所、人に触れ合うことは、ワンちゃんにとっても一緒に暮らしている家族にとっても、幸せな時間になるはずです。
私自身、ロナと一緒に暮らすようになって、なぜトイプードルが人気犬種なのかよくわかりました(笑)。抜け毛が少ないなどケアが楽ちんということもありますが、トイプードルの明るさ、人懐っこさは本当にかわいいですよね。賢くて人と人の様子もよく見ている子たちだからこそ、たくさん笑って楽しく過ごす時間をたっぷり作ってあげてください。
ただ、運動能力が高く、高いところからジャンプするなど思いもよらない行動をとることもあるので、怪我には要注意。歩き方がおかしいなど様子の変化に気づいたら早めに動物病院で診察を。運動や遊びが大好きだからこそ、早めの処置で治療を長引かせないようにしてあげましょう。

ハロー動物病院 ハロー動物病院 [船橋本院] 船橋市二和西 4-23-7 [新鎌ケ谷分院] 鎌ケ谷市新鎌ケ谷 2-7-2

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