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海、山、川にも危険がいっぱい!  犬の暑さ対策、決定版②「レジャー編」

海、山、川にも危険がいっぱい! 犬の暑さ対策、決定版②「レジャー編」

 
蟹江 健
      

全2回でお届けする、夏の暑さ対策 決定版。今回はレジャー編と称して、「レジャーシーンでの危険」について詳しく解説していきます!お話を伺ったのは、熱中症編と同様、獣医師の蟹江健先生(東京・杉並 エルム動物病院 院長)。海水浴や川遊びに潜む危険、ドライブシーンでの車酔い対策など、幅広く夏の愛犬トラブル予防策について教えていただきました。
楽しいイベントがたくさんある夏だからこそ、先生のアドバイスをもとに、油断せず、愛犬の体調管理をしてあげましょう。そして、楽しい夏を愛犬と一緒にめいっぱい楽しみましょう!

【犬の暑さ対策 決定版①「熱中症編」】をチェックしていない人はこちら!

プロフィール

蟹江 健先生

愛知県出身。幼少期から動物が好きで獣医を志す。日本獣医畜産大学(現・日本獣医生命科学大学)卒業後、大学病院、一般病院勤務を経て、2007年にエルム動物病院の勤務医へ。2011年、同病院院長に就任。東洋医学も学び、西洋医学と東洋医学の両アプローチで、オーナーとペットにとって安心納得の医療を提供している。また、杉並区の小中学校などで「いのちの授業」なども実施中。
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目次

夏のレジャーに潜む、愛犬のSOSを見逃さないで!

インタビューを受けている男性獣医師

自然の中で楽しむことの多い夏のレジャー。海水浴、川遊び、キャンプなど、さまざまな予定を立てている人も多いのでは? 愛犬と一緒に楽しむことができる宿泊施設なども多くなったので、遠出をする人も多いのかもしれません。愛犬が快適に楽しく過ごすために、大切なのは、レジャーシーンに合わせたトラブル対策の徹底です。シーンごとの危険を把握し、しっかり対策をしていきましょう。

海に潜む危険とは

砂浜や海水浴場で熱中症をおこしている犬砂浜も海の中も楽しいけれど、犬にとっては苦しいことも。

夏のレジャーシーンの中で、犬にとって特に注意が必要なのは、塩分と日差しと照り返しをたっぷりと浴びる海です。山や川では気温が少し低く木陰もありますが、海には逃げ場がありません。愛犬のために、ぜひ、徹底した対策をとってあげてください。

1.灼熱の砂浜

遊んだ日の翌日、犬の足の裏がズルむけになって来院される方もいらっしゃいます。犬用の靴を履かせてあげると良いでしょう。長時間履かせっぱなしだと蒸れるので、その点も気をつけてあげてください。

2.海の塩分

泳ぎが好きな子は、海水をガブガブ飲んでしまうことが多いものです。塩分の取り過ぎは、腎臓や心臓への負担が大きく、危険な不調を引き起こすことも。犬が楽しんでいても海水浴は長時間にならないように注意を。また、海から上がった後には、皮膚トラブルを防ぐために、必ず真水でしっかりと塩分を洗い流し、ドライヤーで毛をきちんと乾かしてあげましょう。冷風と温風を交互にうまく使うのがおすすめです。

3.日差しと気温

気温が高く、砂浜の照り返しもあるので、日陰を作って浜辺で休んでいても、犬の体温は下がりにくくなっています。日陰だから、風があるからと油断せず、ビーチで過ごすのは1時間程度とし、長居させないようにしましょう。パラソルを立てていても、レジャーシートを敷いていても、犬のいる場所は地面に近く、とても熱くなっているということを忘れないでくださいね。

4.誤食

砂浜に落ちた食べ物やバーべキューのゴミなど思わぬものを拾い食いしてしまう事があります。ときおり砂を食べる子もいますので注意が必要です。

山や川、キャンプに潜む危険とは

肉球が火傷している犬痛くて舐めてしまう肉球の火傷は治りにくい……。

海よりも危険度が低いとはいえ、思わぬトラブルに巻き込まれがちな山や川でのレジャー。水辺や山の中では気温が低く感じますが、油断することのないよう、暑さ対策、怪我対策をしておきましょう。

1.足の火傷や怪我

水辺は涼しく感じますが、河原やキャンプ場の石などは思いのほか高温です。川底や山道で何かを踏んで肉球に怪我をしてしまう危険などもあるので、フットカバーを上手に使用しましょう。肉球の火傷は自分で舐めてしまうので、治療にとても時間がかかり、愛犬への負担増となってしまいます。

2.水辺の事故

川の流れは思った以上に速く、流されてしまう心配もあります。特に雨が降った後の川遊びは危険。泳ぎが得意な子であっても、リードや犬用のライフジャケットを上手に使って、溺れることのないようにしましょう。

3.虫刺され

山には蚊などの虫も多く、ノミやダニなどの寄生虫にも注意が必要です。事前の予防を徹底し、帰ってきてからしっかりチェックしてあげることが重要です。

日焼けや、花火・雷の音などにも要注意

この他にも熱中症編でもお伝えした、日焼け対策も忘れずに行いましょう。また、てんかんなどの持病を持っていたり、警戒心の強い子は、大きな音に不安を感じます。夏には雷や花火の音、お祭りのお囃子など日常にない音が聞こえてくるときがありますよね。場合によっては発作につながることもあるので、十分に気をつけてあげましょう。爆弾低気圧などによる急激な気圧の変化に弱い子もいますので、注意深く様子を見てあげてください。

インタビューを受けている男性獣医師

レジャーシーンで役立つ、愛犬との快適ドライブのコツ!

風通しのよい涼しい社内にいる犬安全性に配慮しつつ、風通しのよい涼しい環境を。

夏のドライブは、やはり熱中症への注意が不可欠です。犬の急な飛び出しを防ぐために、キャリーに入れてあげるのは良いことなのですが、その中の暑さが怖いですね。
キャリーの中はエアコンの風が届きにくく、人間の目も届きにくい。水分も取れずいつの間にか熱中症に、という危険性があります。キャリーをエアコンの風が当たる場所におく、また、ハンディタイプの扇風機を使って冷たい風をキャリー内に送りこむなど、内部の温度を下げてあげる工夫をしておきましょう。

高速道路では1から2時間ごとにパーキング休憩できるといいですね。車内に犬を放置するのは絶対NG。パーキングは屋根がなく、車は炎天下にさらされて高温になります。「短い間だから」と油断するのはとても危険です。酔ってしまう子には、酔い止めを使うのも効果的。酔い方や原因などによって薬にもいろいろな種類があるので、かかりつけの先生と相談し、愛犬に合わせた酔い止め薬を処方してもらっておきましょう。夏の嘔吐は、体力と水分を愛犬から奪ってしまうので、いつも以上に気をつけてあげてください。
また、出かける日は軽めの食事をとらせるようにしましょう。空腹状態は嘔吐をしやすくなります。出かける直前に与えるのはNG。出発の1~2時間前くらいには食事を済ませておいてください。

インタビューを受けている男性獣医師

 

CHECK POINT快適ドライブのポイント

  • 1. 愛犬の急な飛び出しなどへの対策をしつつ、暑さ対策も忘れず行う
  • 2. キャリーの中が暑くなり過ぎていないか、風が通っているかに注意を
  • 3. 休憩を多めに取り、パーキングエリアでは外に出し、水分補給を欠かさない
  • 4. かかりつけ医に相談し、酔い止めを処方してもらうのも〇
  • 5. 出発の1~2時間前までに、軽めの食事をとらせる

蟹江先生より、犬のオーナーの皆さんへ、
愛犬と一緒に夏をめいっぱい楽しんでくださいね

チワワを抱えている男性獣医師

犬は泳ぐのが好きな子が多いので、海遊びに川遊びに夏は楽しいことがいっぱいですよね。愛犬が全力で喜ぶ姿を見たくて、海や川で泳がせてあげたいな、と思うオーナーさんも多いと思います。でも、犬は自分が暑い、辛いということを言葉で訴えられません。熱中症になっても、顔が真っ赤になる人間とは違い、変化が分かりにくく、手遅れになりがちです。
気温が上がるこの時期は、レジャーのときも普段のお散歩のときも、オーナーさんがしっかりと目を光らせて、普段よりも注意レベルを上げておきましょう。人間が暑いと感じるならば、体が毛で覆われている犬は、ワンランク上の暑さを感じています。そのことを忘れず、夏のトラブルに気をつけながら、愛犬との夏を思いっきり楽しんでくださいね。
また、楽しいお出かけの後で、疲労や生活リズムの変化から食欲不振、下痢や嘔吐など体調を崩す子たちがいます。楽しんだ後もケアを忘れず、日々の愛犬たちの変化を気にかけてあげてください。

犬の暑さ対策熱中症編

エルム動物病院 エルム動物病院 東京都杉並区桃井1-26-20k

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