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猫と車でお出かけ②移動編「車内で安全・快適に過ごすための工夫」

猫と車でお出かけ②移動編「車内で安全・快適に過ごすための工夫」

 
門屋 美知代
かどやアニマルホスピタル
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「猫と車でお出かけ①準備編」では、車に乗せるために必要なグッズやストレスを減らす練習を獣医師の門屋美知代先生が解説。今回の「②移動編」では動物病院のスタッフ猫のぽんちゃんが乗車をリアルに体験しました。万が一に備えた安全対策は必見です。飼い主さんが愛猫と無理なくステップアップするために、本企画は①準備編、②移動編、③帰宅編の3回にわけてお送りします。

プロフィール
獣医師 門屋 美知代 先生

門屋 美知代 先生

日本獣医皮膚科認定医。同学会理事。小学生3年生のときに出会った「動物のお医者さん」がきっかけで獣医師を目指す。北里大学獣医学部卒業後、動物病院で勤務を始めてから皮膚疾患の多さに気づき、皮膚科の診療をより深く学ぶために東京農工大学・大学院へ。2005年にかどやアニマルホスピタルを開院し、動物に合わせた皮膚診療に力を入れる。「飼い主さんが気軽に相談できる動物のお医者さんでありたい」と、親しみやすい雰囲気づくりも心がけている。
かどやアニマルホスピタル

目次

出発前に猫をキャリーに入れてから
車に乗せるまでの安全確認

かどやアニマルホスピタルのぽんちゃん

出かける前に食事や水はあげたほうがいいのでしょうか?

獣医師 門屋 美知代先生

食後すぐに出かけると車酔いで吐いてしまうことがあるので、食事から30分以上経ってから出発したほうがいいと思います。脱水防止のためにお出かけ直前でも水分摂取は自由にさせてください。かかりつけの獣医師から酔い止め薬や精神安定剤が処方されている場合は、指示に従って飲ませましょう。

なるべくトイレを済ませてから
出かけたいけれど……

獣医師 門屋 美知代先生

移動中は不安で粗相をする可能性もあるので、できれば自宅で排泄を済ませたほうが安心ですね。出発時間が決まっている場合は、キャリーケースの中にペットシートを敷いておき、さらに座席のシートに大判のペットシートや防水シートを敷いておきましょう。

洗濯ネットに入れるのは
どんな効果があるのでしょうか?

インタビューに答える門屋先生

獣医師 門屋 美知代先生

猫は狭いところに入ったり隠れたりすることで安心感を得るので、紙袋やビニール袋に好んで入りますよね。同じように洗濯ネットも隠れ場所になるんです。猫を逃がさないようにと小さい洗濯ネットを使っている場合、窮屈に見えるかもしれませんね。「①準備編」でお話ししたとおり、大は小を兼ねると思って子猫でも大きい洗濯ネットを用意してください。

①準備編

猫が車内で安心・安全に過ごせる環境づくり

猫とのお出かけに必要なグッズ

(1)車内には芳香剤やアロマディフューザーを置かない

車内になにげなく置いている芳香剤やアロマディフューザーは、猫を乗せる前に必ず片付けて換気しましょう。猫の被毛に芳香剤やアロマオイルの成分がつくと、グルーミングの際になめて体内に取り込んでしまいます。有害物質を肝臓で代謝する能力が低いため、中毒症状を起こす危険があります。消臭剤でも香りつきのタイプは避けてください。

(2)後部座席に置いてハンドルにシートベルトを通して固定する

キャリーケースを助手席に置くのはNGです。運転手が猫に気を取られて交通事故を起こした事例が報告されています。キャリーケースは後部座席に置き、同行者が隣に付き添って様子を見ましょう。急ブレーキや急カーブでキャリーケースが落ちてしまうと猫がけがをする恐れがあるので、シートベルトをハンドルに通して固定することも重要です。
後部座席にキャリーケースを置けない場合は、スペースに余裕のある助手席の足元部分に置きます。猫の安全を考えるとおすすめできないので、後部座席に固定できるよう工夫してくださいね。

(3)キャリーケースが水平になるようにタオルで調整する

自動車の座席は人が座りやすいように傾いているため、キャリーケースを置くと斜めになってしまいます。キャリーケースが水平になるようにタオルを敷いて調節しましょう。自分の居場所が安定していたほうが猫も落ち着きやすくなります。

体調に関わる時期ごとのお出かけ対策と水分補給のタイミング

猫とのお出かけに必要なグッズ

夏と冬の時期に応じた対策を教えてください。

夏は冷却シートなどの熱中症対策が必須です。わずかな時間でも猫を車内に置き去りにするのはやめ、サービスエリアなどでの食事や休憩の際にも必ず1人が付き添ってください。冬はブランケットがあれば十分でしょう。
休憩時間に換気する際はドアや窓を開ける前にキャリーケースが開かないことを必ず確認すること。周囲の騒音が猫のストレスになるため、静かな場所が望ましいですね。

移動中の水分補給や食事のタイミングの目安は?

猫とのお出かけに必要なグッズ

出発前に水分補給を済ませた健康な猫であれば、移動中は4~5時間に1回程度が目安です。逃走防止のために窓やドアを閉めたうえでキャリーケースの中の洗濯ネットのファスナーを開き、扉を閉めてから水分補給ができるおやつを与えましょう。いつもと違う環境に緊張して口にしない場合は、無理をせず静かに休ませてください。
車酔いを防ぐためにも食事はお出かけ先に着いてから、もしくは帰宅してからがおすすめ。体調が万全の場合は、12時間程度なら食べなくても健康を害することはないはずです。

最後に、門屋先生から
車での移動に関するアドバイス

インタビューカット

タクシーに猫を乗せる場合の注意点はありますか?

獣医師 門屋 美知代先生

猫をキャリーケースに入れた状態であれば乗車できる場合が多いものの、事前にタクシー会社に確認したほうが安心かもしれません。乗せる際には忘れずに。
キャリーケースにバスタオルをかけておけば、車内に毛が落ちることもなく迷惑をかけずに済みます。タクシー内の他人のにおいや運転手さんの声が猫に届きづらくなり、緊張感をやわらげることもできて一石二鳥です。

猫が逃げてしまったときの対策を知っておきたいと思います。

獣医師 門屋 美知代先生

室内飼育の猫にとっては一歩でも外に出たら玄関先でも未知の世界。パニックを起こして逃走してしまう危険があります。もし移動中やお出かけ先で逃げたらまず見つかりません。本記事でお伝えしたとおり、キャリーケースと洗濯ネットで安全に連れて行きましょう。 そのうえで逃げたときの対策をするなら、保護されたとき身元がわかるようにマイクロチップを装着するのも一案です。首輪につけるGPS追跡装置が開発されていますが、そもそも首輪が屋外のどこかに引っかかって命を落とすこともあるので、装着する際は十分検討してくださいね。

動物病院のスタッフ猫のぽんちゃんは、キャリーケースと洗濯ネットに守られている安心感で車内でもリラックスできた様子です。お出かけの練習の成果が出て、ペーストのおやつで水分補給するリアルな体験も撮影できました!

移動中の車内では、極力愛猫のストレスが減るようにバスタオルを用いてキャリーを並行に保ったり、被せたりして周囲の音や視界を遮断することも有効です。タクシーなど自家用車以外に乗る時は事前の確認に加えて、キャリーケースの下に大判のペットシートや防水シートを敷くなどの粗相の対策もしっかりしてお出かけしてみてくださいね。

次回は③到着・帰宅編「目的地での過ごし方や帰宅したときの注意点」です。帰省や旅行ではしばらくお出かけ先で過ごすことになるので、猫が環境に慣れるようにケアする方法や体調の変化を見逃さないポイントなどを門屋先生が詳しく解説します。

取材にご協力いただいた病院

かどやアニマルホスピタルかどやアニマルホスピタル

東京都府中市府中町1丁目40-12

東京都 府中市
門屋 美知代
かどやアニマルホスピタル
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日本獣医皮膚科認定医。同学会理事。小学生3年生のときに出会った「動物のお医者さん」がきっかけで獣医師を目指す。北里大学獣医学部卒業後、動物病院で勤務を始めてから皮膚疾患の多さに気づき、皮膚科の診療をより深く学ぶために東京農工大学・大学院へ。2005年年にかどやアニマルホスピタルを開院し、動物に合わせた皮膚診療に力を入れる。「飼い主さんが気軽に相談できる動物のお医者さんでありたい」と、親しみやすい雰囲気づくりも心がけている。

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