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第1回ペットオーナー大学/はじめて猫を飼う人のための入門講座レポート

第1回ペットオーナー大学/はじめて猫を飼う人のための入門講座レポート

 
#HugQ編集部
      

#HugQがお届けする「プロペットオーナー」になるための講座。ペットオーナー大学。第1回目(2023年1月28日開催)は三鷹獣医科グループ 猫内科部長佐藤愛実先生を迎えて、はじめて猫を飼う人に絶対に知っておいてほしいことを実践を交えてレクチャーしていただきました。

講師紹介

佐藤 愛実 先生 三鷹獣医科グループ 猫内科部長

 

ナビゲーター紹介

ナビゲーター 染谷 麻衣 #HugQ 編集部
 

▼全編はこちらから

 

目次

①猫が病院を嫌いになってしまうのはなぜ?

佐藤先生

猫ちゃんっていうのは、新しい場所、新しい人、新しい匂いなどの新しい刺激に対してかなり強く警戒心を持つ動物なんです。そこにさらに、例えばちょっと痛いことをされるような出来事が組み合わさって記憶されてしまうと、もう完全に嫌いになってしまうんです。 あとは、猫ちゃんを病院に連れて行く時にストレスを減らすコツというのがあるんですが、そのコツを知らないでなんとなく連れて行ってしまうとそれが原因で猫ちゃんが病院に行くのを嫌になっちゃうってこともありますね。 あとは、飼い主さんの緊張もひとつの原因になります。緊張は猫ちゃんに伝わりますので、それで嫌いになっちゃうこともありますね。

②猫を病院嫌いにさせない秘策とは?

佐藤先生

秘策は大きく分けると3つあります。1つは、病気になる前から、できれば子猫ちゃんの頃から慣らしておくということ。もう1つは連れていくときの刺激をなるべく減らすということです。 あとは飼い主さんが緊張のないように来ていただくということですね。

編集部

もうすでに病院嫌いになってしまっている子に対しては、どうしてあげるのがいいんでしょうか。

佐藤先生

キャリーに入る段階で緊張が強い子の場合は、思い切ってキャリーを変えてしまうというのが1つあります。あとは極端な話、病院を変えるという手もあります。なるべくその猫ちゃんにとってリラックスできる静かな病院を選ぶことも選択肢の一つになります。あとは、抗不安薬やサプリメントの力を借りることもできるので、ぜひ獣医師に相談してみてください。

 

先生が毎日診断する中で特に繊細さんだなと感じる猫種については動画をご覧ください♪

③キャリーケースの大切さ、選び方

佐藤先生

一番大事なのは上が開くことだと思ってます。なぜかというと猫ちゃんをキャリーから出す時に上からそっと持ち上げるようにすると一番緊張しないからです。横しか開かないようなタイプだと、猫ちゃんを引っ張り出すような感じになってしまうので、それがすごくストレスになります。

また、上が開くタイプの良さは、ナーバスな猫ちゃんをキャリーの中に入れたまま診察してもらえる点もあります。

あとキャリー選びで大切なこととしては安全性ですね。頑丈なものを選んでください。 猫ちゃんの手が挟まってしまうようなところがない作りのものを選んでいただくのがいいと思います。

▲佐藤先生が使用しているキャリーケース。どちらも上から猫ちゃんを出し入れできる。

編集部

これだけは絶対やめてほしいことはありますか?

佐藤先生

洗濯袋に入れてそのまま連れていくのはNGです。パニックになっちゃった場合に危険だからです。 蓋が閉まらないキャリーも同じ理由で猫ちゃんの安全のためにやめてください。

編集部

猫ちゃんがキャリーケースに入ってくれない場合はどうしたらいいですか?

佐藤先生

猫ちゃんは新しいものをすごく警戒するので、いざ使う時だけキャリーケースを出すのではなく、買ってきたらお部屋に置いておきましょう。 例えば私が使っているものですと(※下写真)、下半分だけにして部屋に置いています。クッションを入れておいたりしておくと、勝手に寝床みたいにして慣れてくれます。 そんな風にキャリーケースを安心できる“居場所”にしてあげることが大切です。

▲佐藤先生のキャリーケースは上半分が取れる仕様に。部屋にこのまま置いておけばくつろぎスペースになる。

編集部

大体慣れるまでにはどれくらいの期間がかかると考えておいたらいいでしょう?

佐藤先生

個体差はありますが、1ヶ月くらいかかる猫ちゃんもいます。災害などが起こる可能性もありますし、そういう意味でもできるだけ早く慣らしておいてほしいです。

編集部

先生には今日はリュックタイプのキャリーケースもお持ちいただきました。そちらもご紹介いただけますか。

▲リュックタイプのものも横向きにして入り口を開けてお部屋に置いておきくつろぎスペースに。

佐藤先生

リュックの利点は持ちやすいことです。体格のいい猫ちゃんの場合、女性だと手持ちのキャリーケースですとかなり疲れてしまいますのでおすすめです。このリュックの場合は、かなり口が大きいので出し入れも問題ありません。特に多頭飼いの方ですと、手持ちキャリー2つだと手がふさがってしまいますので、背負うタイプを1つ用意しておくと便利だと思います。リュックタイプも横向きに置いておけば、居場所として慣れてくれます。

キャリーケースに足がひっかかってしまってうまく入れられない。さあどうする?動画でチェック

④病院まで連れていくコツ、病院での注意点

佐藤先生

慣れない猫ちゃんの場合はとにかく近くの病院を選んだり、刺激をなるべく与えずに行ける病院がよいですね。あと、電車や公共交通機関は最初は慣れない子にはハードルが高いので、徒歩かタクシーや自家用車など、できるだけ静かな方法を選んでください。その上で、キャリーケースにはブランケットをかけていただいて音と視覚を遮断してあげるのがポイントです。

編集部

病院に着いてから気をつけることはどんなことがありますか?

佐藤先生

病院でも刺激を減らすことが大切です。 ブランケットはキャリーケースにかけっぱなしにしておくこと。そしてキャリーケースを床に置かないこと。床に置くと人が通ったり、ワンちゃんが近づいてきたりなど刺激が増えてしまいます。ですので、膝の上か椅子の上に置いていただきたいです。

編集部

いざ病院でキャリーから出すという時にも気をつけることはありますか?

佐藤先生

慌てて出す必要はないです。出してくださいって言われるまでは、ちょっと扉だけ開けて周りをうかがう時間を猫ちゃんにあげたりして、急いで出さなきゃ!っていう雰囲気を出さないようにしましょう。そして、出すときには上から抱き上げるようにしてください。特に怖がりの猫ちゃんの場合にはタオルなどをかけて目隠しをして抱っこしてあげるとすごく安心します。抱っこしたらすぐ体につけるようにするとさらに安心してもらえます。

先生の動作をご覧になりたい方は動画でチェック!

⑤実践編 キャリーケースへの正しい入れ方

まずは、先生からキャリーケースへの正しい入れ方を教えていただきました。
怖がってしまう猫ちゃんの落ち着かせ方や安心させる方法を学んでから、
参加者一人ひとりが実践し、先生から丁寧なアドバイスをいただきました。

▲猫ちゃんの名前を呼んで安心させながら出し入れを行う先生

 

佐藤先生

皆さんへのアドバイス

実際に練習する時のポイントは、なるべくご褒美をあげながらやることです。ちょっとずつでいいので何かできたらあげるようにしましょう。おやつをあげることに抵抗がある方の場合は、ご飯から取り分けたドライの粒でもいいですし、総合栄養食のペースト状のものでもよいです。おやつと一緒に褒めてあげてくださいね。

⑥質問コーナー

講義の最後は参加者からの質問コーナー。猫ちゃんと暮らす中で困っていることを丁寧に教えていただきました。

参加者

毎朝噛んでくる。噛み癖を直したいけれどいい方法はありますか?

佐藤先生

朝同じ時間に噛むというのは、何か要求されていることが多いと思います。例えば朝お腹が減ったとか、遊んでほしいとか。猫ちゃんって自分を絶対に曲げないので、猫ちゃんに合わせてあげるしかありません。お腹が空くようなら自動給餌器をつかってみるなどですね。あと、噛まれたからといって怒ると、飼い主さんと猫ちゃんの関係性が悪くなったり、逆にかまってもらえたと思ってその行動を強化してしまうこともありますので、静かにその場を離れて無視するっていうのが1番です。

参加者

猫ちゃんが2匹いて、餌の食いつきが2匹で違うので食べる量をコントロールできないのですがどうしたらいいでしょうか?

佐藤先生

こちらもよくいただく質問です。その場で食べ切るタイプで食事をあげている場合は、よく食べる子の場合は低カロリーのウエットフードをあげていただき、細い子の場合は調整せずにあげていただくとよいです。あとは、お互いの食事が見えないようについたてを立てるのもおすすめですね。
自動給餌器や、ちょびちょび食いでフードを置きっぱなしにしている場合は、よく食べる体格の良い子が入れない狭い入り口の先にフードを置く、とかそういった環境的な工夫をしていただくのがいいかと思います。どうしても空腹感が強くなるといっぱい食べてしまうので、満腹感を高めるために食物繊維の多めのものや水分多めのウェットフードで満腹感を得てもらうこともアリです。

参加者

7年飼っている猫ちゃんをなでている時に時々ガブっと噛まれます。これは猫のどんな行動なのか教えていただきたいです。

佐藤先生

猫ちゃんからの「もういいです」というサインを見逃しているのかもしれません。 撫でていても様子が変わってきたら嫌がっているシグナルだととらえて止めるというのも大事です。

参加者

2匹同時期に飼い始めたのですが体格差が出てきてしまって。どうしたらいいでしょうか?

佐藤先生

まずは、太りすぎている子のフードをダイエット食やウェットフードにすることが有効ですが、同じカロリーをとっても太りやすい子はいるので、その子には動いてもらうしかないですね。動く工夫としては、よく遊んであげる、また食事を小分けにして部屋の色んなところに隠しておくというやり方があります。探さないと食べれないので、それで運動になったりします。ぜひやってみてくださいね。

参加者

最近、私の顔を見ると逃げていくことがあるのですが、これはなぜなんでしょうか?

佐藤先生

飼い主さんの顔を見た時と同時に嫌なことが起きた記憶があるんでしょうね。猫ちゃんにしか理由はわからないのですが、例えば、ドアを閉める音が大きかったとか。猫ちゃんにはとにかく大きな音は立てないようにすることが大切です。

 

 
 

次回のペットオーナー大学は6月に予定しています。
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