短い足が特徴のマンチカンは、茶目っ気があり、陽気で好奇心旺盛な猫。足の短さに合った環境作りや、遺伝的にかかりやすい病気を知った上で家族として迎え入れることが大切です。今回はマンチカンの歴史やかかりやすい病気、生活で気を付けたい点を紹介します。マンチカンを飼う際の参考にしてみてください。
目次
マンチカンの歴史
現在のマンチカンのルーツは、1983年にアメリカのルイジアナ州で発見された野良猫にさかのぼります。ブラックベリーと名付けられたその猫が生んだ4頭の子猫のうち、2頭が短足でした。そのうちの1匹、オス猫のトゥールーズがブリーダーの手に渡り、本格的なブリーディングが始まりました。品種名は映画「オズの魔法使い」に登場する小さな妖精「マンチキン」に由来しています。「マンチキン」は英語で「小さい人・子ども」を意味します。
マンチカンのかかりやすい病気
マンチカンは胸骨の奇形による病気や遺伝性の腎疾患、目の網膜の病気にかかりやすい猫です。どのような症状が見られるのか知り、早期発見につなげましょう。
漏斗胸(ろうときょう)
胸骨の一部が陥没する先天的な病気です。無症状の場合もありますが、より重度な症例では、発育不良や運動不耐性、頻呼吸、呼吸困難、チアノーゼ(舌の色が紫になる)などを呈する場合があります。漏斗胸はマンチカンやベンガルに好発するという報告があります。
■診断
身体検査やX線検査など
■治療
奇形の程度が重度で、これに伴う臨床症状がある場合は、外科的治療または支持療法が検討されます。奇形が適切に矯正され、他に合併症がない場合、長期的な予後が期待できます。
多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)
腎臓に複数の嚢胞が形成される遺伝性疾患です。この嚢胞は年齢とともに大きくなったり数が増えたりして正常な腎臓組織を圧迫します。最終的には腎機能不全に陥る病気です。
■診断
主に超音波検査で診断します。
■治療
遺伝性疾患のため根治は望めず、投薬でのコントロールもできません。基本的に残された腎臓の機能を保護するための治療や対症療法が主体です。
遺伝性網膜変性
猫ではまれな疾患で、視覚が衰えて最終的には失明に至ります。暗い場所で物が見えにくくなる夜盲の症状が認められ、症状は両目に生じるのが一般的です。症状が進行すると、目が光って見えます。
■診断
眼底検査、網膜電図検査を行います。
■治療
有効な治療法はありません。
マンチカンとの生活で気を付ける点
マンチカンはダックスフントのように短い足が特徴。そのため、生活環境を作るときには気を付けたい点があります。またシルキーで美しい被毛を保つためのお手入れも意識しましょう。
段差の低い遊具を準備する
キャットタワーなどの遊具は段差が低いタイプを用意しましょう。足が短いわりには足が速く、好奇心旺盛でよく遊びますが、高所への飛び跳ねは苦手な猫が多いです。運動不足にならないよう、床などの平面で遊べる環境を整えてあげましょう。
こまめにブラッシングをする
マンチカンには短毛と長毛がいますが、いずれもこまめなお手入れを心がけてください。短毛なら1日1回、長毛なら朝晩1回ずつのブラッシングとコーミングが理想です。
マンチカンを飼うのに向いている人
好奇心旺盛で活発な性格なので、一緒に遊んであげられるような飼い主さんがおすすめです。マンチカンは、甘えん坊な猫が好きな人にぴったりの性格です。またきれいな被毛を保てるよう、毎日欠かさずお手入れできる人が望ましいでしょう。
マンチカンの特徴を知って家族の一員に迎え入れよう
短い足で茶目っ気たっぷりなマンチカンは、アメリカにルーツを持つかわいい猫です。活発で明るい性格ですが、足が短いゆえに跳躍が苦手なので体型にあった遊具を準備しましょう。またマンチカンのかかりやすい病気を知っておくことも大切です。マンチカンが好む環境を整えて、家族の一員として迎え入れてください。

服部 幸 先生