マンチカンは「猫界のダックスフンド」と言われる、短い足がキュートな品種です。人懐っこくて好奇心旺盛な性格で、比較的飼育しやすい点も魅力と言えるでしょう。マンチカン誕生の歴史や体の特徴、基本的な性格、寿命・かかりやすい病気などを詳しく解説するとともに、飼い方のポイントも紹介します。
目次
マンチカンの歴史
マンチカンが最初に発見されたのは1944年のイギリスです。DNAの突然変異によって偶然誕生しました。時を経て1983年にアメリカでも足の短い猫が見つかり、その猫の子どもの半数が同じように足が短いといった特徴がありました。そしてその子猫らが遺伝子的に健康体であったことから本格的な育種が始まり、現在に至ります。
なおマンチカンの名前の由来は「オズの魔法使い」に登場する小さな妖精「マンチキン」です。
マンチカンの体の特徴
続いてマンチカンの身体的な特徴を紹介します。マンチカンはその可愛らしく個性的な見た目が大きな魅力のひとつです。
【体格】小柄ながらも筋肉質
マンチカンは小柄で細身ながら筋肉質で安定感があり、丸っこいフォルムが特徴です。猫のサイズの中ではセミ・フォーリンに分類されます。体長30∼40cm、体高16∼20cm、体重3∼6kgが平均的なサイズです。
【足の長さ】前足と後ろ足がほぼ同じ長さ
マンチカンといえば短い足が特徴的で、前足と後ろ足の長さはほぼ同じです。高いところへのジャンプは少し苦手ですが、たいていの動きは問題ありません。二本足で立ちあがる可愛いポーズもよく見られます。
【被毛】短毛種・長毛種の2タイプ
マンチカンには短毛種と長毛種がいて、どちらも毛がぎっしりと生えています。
タイプ | 特徴 |
---|---|
短毛種 | ・手触りがなめらか ・毛に密度がある |
長毛種 (マンチカンロングヘアー) |
・手触りがやわらかい ・毛がフワフワしている ・特にしっぽがフサフサで華やかな印象 |
【顔】丸みのある輪郭とクリクリの目
マンチカンの顔は丸みを帯びた輪郭が特徴的。愛らしい丸顔はマンチカンの人気が高い理由のひとつです。目は大きめでクルミ型、目尻は少しつり上がっています。
【毛・瞳の色】バリエーションが豊富
マンチカンは長年の交配を経ているため、毛色や瞳の色が非常に多彩です。
■ 毛色:クリーム、レッド、ホワイト、タビー(縞模様)が豊富なブラウン、白・レッド・黒3つの毛色が混ざったキャリコ など
■ 瞳の色:グリーン、アンバー(黄色がかった茶色)、カッパー(赤茶系)、ヘーゼル(グリーンとブラウンの2色) など
マンチカンの性格
マンチカンの基本的な性格は次のようなものです。
優しく人懐っこい
マンチカンは基本的に優しい性格で、人間や他の動物達とも仲良く暮らせることが多いようです。個体差こそありますが、人懐っこく社交的な面があるのに加え、甘えん坊です。体を撫でたり抱っこしたりといったスキンシップも喜ぶでしょう。
マンチカンだけでなくすべての猫に言えることですが、このような性格はメスよりオスに多い傾向があります。マンチカンのメスは自立心が強く、大人っぽい性格が多い傾向にあります。
好奇心旺盛で元気いっぱい
マンチカンは好奇心旺盛な猫で、家の中を冒険したりおもちゃで遊んだりするのが大好きです。元気いっぱいに動くやんちゃな姿が可愛さ満点です。
マンチカンの気を付けたい病気
マンチカンのかかりやすい病気も知っておきましょう。マンチカンとの生活をしっかりイメージできるよう、またマンチカンの健康を守っていくためにも大切です。
マンチカンがかかりやすい病気:軟骨無形成症
軟骨無形成症とは、人間では小人症を引き起こす遺伝性疾患として知られています。マンチカンはこの軟骨無形成症を原因とする四肢および肋骨の成長障害が起こりやすいと言われます。
【飼い方】マンチカンが暮らしやすい環境づくりのポイント
マンチカンと楽しく生活するためには、マンチカンが暮らしやすい環境づくりが大切です。以下のポイントを押さえて、マンチカンが活き活き過ごせる環境を準備しましょう。
運動できる・遊べるスペースを準備する
思いっきり体を動かせるスペースを準備しましょう。マンチカンは小さい体ながらアクティブで、走ったりジャンプしたりするのが好きです。体が小さい分、運動スペースはそれほど広くなくて大丈夫。部屋や廊下の行き来をしやすくする、キャットタワーを置くなどの工夫で十分です。運動能力は高いものの、足の短さによりジャンプが苦手なので、高さを控えめにしたり段差を小さくしたりしましょう。
床に絨毯などを敷いて滑りにくくする
床に絨毯やマットなどを敷いて滑りにくくし、マンチカンが快適に歩行できるようにしましょう。
【飼い方】マンチカンを飼う上で気を付けたいポイント
毎日のお世話や食事面でも注意したいポイントがあります。マンチカンが健康的に長生きできるよう、次のようなことに気を付けながらお世話しましょう。
ご飯を与え過ぎない
育ち盛りの子猫であればたくさんご飯を食べてもよいですが、成猫のマンチカンにはご飯を与え過ぎず、適正体重を維持できるよう調整する必要があります。肥満は足腰だけではなく内臓にも負担をかけ、さまざまな疾患につながる恐れがあります。マンチカンの運動量を見ながら、低カロリーなフードを利用するのもひとつです。
誤飲の可能性があるものを片付ける
誤飲が発生しないよう、その可能性があるものを片付けておくことも大切です。マンチカンは好奇心旺盛な性格なので、何にでも興味を持ちます。また、手足が短く床に目線が近いため、床に置いてあるものや落ちているものが目に入ってしまいます。
高さのあるテーブルや棚にものを置いても、マンチカンが上っていたずらをする可能性も。マンチカンの手が届かないよう、引き出しにしっかりしまっておくなどの対応をしましょう。
マンチカンは見た目も性格も可愛い!飼い方を知って新しい家族に
服部 幸 先生