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フィアフリーの動物病院あおぞら動物病院の診療方針とは【獣医師が解説】

フィアフリーの動物病院あおぞら動物病院の診療方針とは【獣医師が解説】

 
増山 浩一
      

「柏メルビー動物病院」の竹内猛先生からバトンを繋いでいただいたのは、長野県佐久市の「あおぞら動物病院」院長 増山浩一先生。さまざまな動物病院での経験や公的施設の勤務経験を経て、より動物のためになるストレスのない治療、また飼い主さんにも納得していただけるコミュニケーションを心がけ、満足度の高い診療を実現していらっしゃる増山先生に、目指す動物病院の在り方や、これからのビジョンについてお話をうかがいました。

専門性×幅広い診療動物で独自性を追求。柏メルビー動物病院・竹内先生のご家族を笑顔にする診療とは?

プロフィール
増山先生のプロフィール写真

増山浩一先生

幼い頃から動物が好きだったことをきっかけに獣医を目指す。国立岩手大学農学部獣医学科を卒業後、グクタリ動物病院京都医療センターにて勤務。その後、一度臨床を離れ、長野県動物愛護センターにて勤務。再び臨床の現場に戻り、小諸さくら動物病院などで経験を積んだ後、2017年に地元の佐久市にて「あおぞら動物病院」を開業。より動物と飼い主さんが笑顔になる獣医療を目指して、日々勉強や研究を続けている。一般社団法人LIVESに所属。
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目次

夢をあきらめず、熱い想いで実現させた気持ちよい病院

獣医師を志したきっかけを振り返る柏メルビー動物病院の増山先生

獣医師を目指したきっかけを教えていただけますか。

子どもの頃から動物が大好きで、ムツゴロウ王国の番組をよく観ていました。小学校中学校時代には、犬と猫を飼っていてとてもかわいがっていたのですが、犬はフィラリア症で、猫は交通事故で亡くなってしまって。その時に、何もできなかった無力感があって、それがこの世界を目指したきっかけです。でも、現役で志望校に合格することができなくて一浪して。それでも獣医学部には合格できずに、金沢大学の工学部に入学するんですけど、それでも諦めきれなくて、両親には申し訳なかったのですが仮面浪人して、やっと岩手大学の獣医学部に合格しました。

獣医といってもいろいろな方向性があると思いますが、最初から開業をめざしていらしたのでしょうか。

私は、ちょっと変わった経歴がありまして。卒業後は動物病院で修行させていただいたのですが、その後、一度臨床の現場を離れ、動物愛護センターで去勢・避妊手術を担当したり、食品衛生検査所で解体された食肉の検査をしたり。そして、やはり臨床に戻りたいと思い、小諸市の動物病院に勤めました。その後、少しずつ自分の思い描く動物病院を実現したい気持ちも強くなり、2017年に開業しました。

ほっこりしてしまうかわいらしい絵が描かれた看板や木のゲートなど、一見、病院らしくない感じがしますね。空も広く気持ちがいいというか。

 

そう言っていただけて嬉しいです。この場所に病院を建てようと決めた時に、まさにここから見る空がとても広く感じられて、動物と一緒に暮らしていらっしゃるみなさんが、この青空みたいに晴れやかな笑顔になるような病院をつくりたいと思って、「あおぞら動物病院」という名前にしたんです。みなさんを笑顔にするために大切なことは、納得いただくこと。だから、相手の言葉で説明できる病院、わかるまで話をする病院にしようと思いました。なぜ検査をするのかとか、どういう治療をするのかとか、わかるように説明をするというのは、ちょっとしたことですけど、飼い主のご家族にとってはとっても重要ですよね。漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の第7部に出てくる名言に「納得は全てに優先するぜッ‼︎」というのがあるのですが、まさにそうだと思っています。
 

動物にも飼い主さんにもストレスがかからない診療を目指して

あおぞら動物病院では、“FEAR-FREE CLINIC”という方針を掲げていらっしゃいますよね?

はい、“FEAR-FREE CLINIC”は、恐怖や緊張、痛みから解放するというのがコンセプト。一般社団法人LIVESに属されている先生から、欧米では主流であるこの考え方を教えていただいて、とてもいいなと思って。まず、動物が病院に来た時に緊張してしまうのは、飼い主さんが緊張するからなんです。だから、病院の待合室はできるだけリラックスしていただけるように、木をつかったやさしい雰囲気のカフェのような内装にしています。 動物たちに触れる時も、できるだけその子が病院嫌いにならないように、無理やり抑えることはしません。ゆったりと支えるようにして、注射や採血の時はご褒美をあげながら。猫の場合は警戒心が強いので、診療室に放して少しそこで過ごしてもらってから診るようにしています。深い検査が必要な時は、確実な安全な方法で鎮静剤を使うこともありますよ。その方が、私たちにとっても動物にとっても、検査結果としてもいいんです。

動物にとっても飼い主さんにとっても、ストレスがない診療ということですよね。先程お話しされていた、納得いくまでお話しするというところも含めて、満足度は高くなりますよね。

そうですね、件数をたくさんこなすというよりも、1件ずつじっくり診療して満足していただくことを大切に考えています。この病院では、亡くなられた後に無料で清拭してお返ししするエンゼルケアというサービスをさせていただいています。これは、信頼関係がないとさせていただけないことかなと思っているので、亡くなってしまったのは悲しいことではありますが、そういう感情を分かち合えるという意味でありがたいなと思っています。 また、たまに海外の方がいらっしゃるのですが、お互いに微妙な英語でやりとりをするので、やりとりに時間がかかるんです。でも、言葉の壁があっても納得して欲しいと言う気持ちは変わらないので、診療時間外で対応させていただいています。そんな姿勢を見てくださっていたからか、ブラジル人の方が「私にとっての最高のドクターだ」って言ってくださり、それはとても嬉しかったですね。

積極的に繋がりを持ち、繋がりが生まれる場をつくる

専門医の先生の治療を定期的に行っていますよね。

はい、循環器科と整形外科は月1回、皮膚科は2ヶ月に1回、来ていただいています。一度診療をして専門医の診療が必要な場合はご予約いただく形です。手術をしていただくこともありますし、症例が少ないものはアドバイスをいただくこともあるので、私にとっても学びの機会なんです。私自身もまだまだ学ぶべきことは常にありますし、専門分野外になると弱いところはあるので、他の先生方のお力をお借りすることには全く抵抗がなくて。むしろどんどんお話をお聞きしたいですし、ご指導いただきたいと思っています。昨今は、動物も長生きになって、腫瘍を患ってしまう子も増えてきました。そのあたりも、ぜひいろいろな先生方の知見をお聞きしたいですね。

専門医の先生との繋がりは、飼い主さんや動物のためにも、そして増山先生ご自身のためでもあるのですか?

そうですね。力を共有することって、今はスタンダードになってきていると思います。だから、必要な方には相応しい先生をご紹介したいですし、先生同士もまた繋がることができたらいいなと思います。 個人的には「一般社団法人LIVES」の先生方とは親しくさせていただいていて、ありがたいことにさまざまな知見を聞かせていただいています。みなさん、それぞれの夢を実現されているので、いつも刺激をいただいているんです。佐久市の獣医さんたちとも繋がりは深いですね。手術の時にヘルプに来てくださることもありますし、お互いに協力しあうところも多いです。また、毎月勉強会も開催していて、大学のゼミみたいな感じですよ(笑)。いい意味ではライバルですが、一緒に高めあえる、いい関係です。佐久という土地なら、「日本一動物と暮らしやすい街」が実現できるような気がしています。

増山先生がこれからやってみたいこと、描いている夢などあれば教えてください。

笑顔の増山先生

病院とは別に空間を設けて、セミナーをやったり人が繋がる場所をつくったりしたいと思っています。例えば、飼っている動物の種類や犬種で集まってもいいですし、シャンプーのやり方や保湿の仕方をその場でアドバイスするような機会を設けるのもよさそうですしね。当院には訓練士の資格を持つスタッフもいますから、しつけについてのお悩み相談会とかもいいかもしれません。リテラシーをあげて、より心地よく人と動物が暮らしていくためのお手伝いができたらいいなと思っています。

 

柏メルビー動物病院 竹内先生からのバトンへの回答

竹内先生のプロフィール写真竹内先生

Q1. 一度臨床から離れていたと思うのですが、その間にやられていたことと、臨床に戻られたきっかけを教えてください。

増山先生のプロフィール写真増山先生

動物病院で修行をした後に動物愛護センターと食品衛生検査所で、それぞれ数年ずつ公務員として働いていました。お恥ずかしいのですが、公務員は楽かなと思っていたんです。でも全然楽ではなくて、動物病院とは異なる大変さがありました。仕事をする中で、やはりいろいろな飼い主さんや動物たちに向き合う獣医師の仕事の方が熱くなれるなと確信して、臨床に戻りました。

竹内先生のプロフィール写真竹内先生

Q2. 先生の柔らかい雰囲気や人間性が素晴らしいと思っているのですが、それが形作られた経験や出来事があれば教えてください。

増山先生のプロフィール写真増山先生

ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいのですが、特になにかがあったわけではなく、これまで出会ってきた方たちのおかげだと思います。実は、開業した当初はカリカリすることもありましたし、疲れてくると精神的にも余裕がなくなってくることはあります。そんな時は、経営者セミナーで言われた「来てくださることに感謝しなさい」という言葉を思い出したり、スタッフのやってくれている業務にも感謝したりするようにしています。また、オフの日は温泉で心身ともにリラックスしたり、質のいい睡眠が取れるように睡眠診療を受けたりして、常に自分がベストコンディションでいられるように心がけています。

竹内先生のプロフィール写真竹内先生

Q3. 先生の人脈はとても広いと思うのですが、人脈を広げるために心掛けていることを教えてください。

増山先生のプロフィール写真増山先生

もっと話してみたいとか、この人気になるなと思ったら突っ込むだけです。自分から連絡させていただいたり、診療を見学させてもらえないかとお願いしたり、とにかく飛び込むだけです。仕事ではそんなに関わりがなくても、オフによく会う獣医さんもいます。意識が高くて魅力的な方とは、お話をするだけでも得るものが大きいですね。

あおぞら動物病院の外観あおぞら動物病院 〒385-0044 長野県佐久市本新町216-15

江東総合病院・苅谷 卓郎先生へのバトン

Q1.日本の獣医療界に対して、先生が成し遂げたいことはなんですか。
Q2.獣医師として経営者として、意識している言葉や人物などあれば教えてください。
Q3.もし獣医さんでなかったらどんな職業についていたと思いますか。

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