LINE友だち募集中
にゃ・ジャッジ「ケガ編」 PART③

にゃ・ジャッジ「ケガ編」 PART③

 
東山 哲
      

「大切な愛猫の体調不良にはすぐに気づいてあげたい!」 そんなオーナーの思いとは裏腹に、猫は不調を隠してしまいがちです。そこで本企画「にゃ・ジャッジ」では、見逃してほしくない愛猫の不調のサイン、受診のタイミングについて獣医師から直接アドバイス!
今回のテーマは「ケガ」!いよいよラストのPART③です。今回もオーナーの皆さんが「どうしよう!」と迷うケースについて、猫裁判長と、有識者の東山哲獣医師に「こう動くべし!」とジャッジしていただきます。

【注意】本企画のアドバイス(「◎様子を見てOK」、「×早めに病院へ」)は、あくまでも一般的な目安とお考えください。少しでもおかしいと感じたら、かかりつけの獣医師へ相談されることをおすすめします。

目次

プロフィール
東山哲先生と黒猫

東山 哲(ひがしやミャ さとし)先生

山口大学農学部獣医学科卒業。2006年杉並区に「ひがしやま動物病院」を開業する。海外の猫学会にも多く参加し、日本にはそれまでなかったキャットフレンドリーという概念を紹介し啓発に努めてきた。JSFMねこ医学会の副会長及びCFC(※)理事を務める。「うちの猫を100倍幸せにする方法」(河出書房新社)他、学術書の執筆も多数。
※Cat Friendly Clinicの略。猫にやさしい診療を心がける、一定の国際基準をクリアした動物病院
続きを見る

CASE5「家出した猫が、帰ってきた!」

家出した猫が帰ってきた様子

にゃ・ジャッジ!!様子を見てもOK?or病院へ行くべき?

にゃジャッジ!!早めに病院へ!

この場合は、様子を見てはいけません!!
見た目に変化がなくても
検査のために病院へ!

解説
誤って屋外に出て行方不明になったり、家出した猫が戻ってきた場合。ケガもないし、様子に変化もなければ大丈夫だと思うかもしれませんが、病院で感染症やウイルスのチェックを受けてください。せっかく戻って来た猫に、その後元気で暮らしてもらうためにも検査は必要です。

Point

ケガがないと思っても、いろいろなチェックを病院で受けて、健康状態をきちんと把握しましょう。

先生からのアドバイス

有識者代表 東山先生

家出から猫が戻ってきたら、まずは病院へ連れてきてください。ケガがないかどうかを獣医師の目で調べて、寄生虫を駆除し、その後ウイルスのチェックをするという手順を踏むことをおすすめします。まずは、ケガのチェックと同時に、ノミやダニなどの外部寄生虫と、体内に入り込む回虫などの内部寄生虫を調べて駆除します。時間をおいて、ウイルスもチェックします。猫エイズや猫白血病のウイルスなどは、飛沫感染はしませんが、噛んだり噛まれたりした場合や、交尾などの濃厚接触をすると移る可能性があります。数日で陽性反応が出ることはないので、帰ってきてから数週間後に検査をすることになります。

CASE6「交通事故に遭ってしまった!」

車に撥ねられそうになるネコ

にゃ・ジャッジ!!様子を見てもOK?or病院へ行くべき?

にゃジャッジ!!早めに病院へ!

この場合は、様子を見てはいけません!!
ケガなどがなくても必ず病院へ!

解説
交通事故に遭った場合は、重症になる可能性が極めて高いので、必ず病院へ連れてきてください。事故直後にはいつも通りにしていて症状が軽そうに見えても、時間が経つと重症度が増すこともあります。ケガがなくても内臓に損傷があることも考えられます。痛みがある場合は、抱っこしようとするとパニックになることもあるので、大きめの毛布にくるんでキャリーケースに入れて連れて行くといいでしょう。

Point

交通事故に遭ったら、ケガがなくても、時間経過とともに重症になる可能性もあるので、すぐに病院へ。救急対応が可能かどうか必ず電話で確認してください!

先生からのアドバイス

有識者代表 東山先生

猫は非常に柔軟性の高い動物なので、交通事故に遭ったとしても、骨折などのケガをしていないケースもありますが、見た目ではわからないダメージを負っていることもあります。たとえば、背骨が事故直後にズレて、その後もとに戻るケース。レントゲンを撮ると異常がないように見えるのですが、後ろ脚が麻痺していて、実は脊髄損傷だったという猫もいました。とりあえず、交通事故などの緊急性が高い場合は、救急の受け入れが可能かどうかを確認するためにも「交通事故に遭った猫を連れて行きたい」と病院へ電話をしてください。休診時間だったり、すでに重症の猫を救急処置していたりすると、すぐに対応できません。そんなときは他の病院を紹介してもらえるはずです。常に救命救急の態勢が整えられているわけではないので、先に確認しておくとタイムラグなく獣医師が受診できるはずです。

Column

先生からのちょっとためににゃる話

猫について語る獣医師

猫のケガ予防のためにできること

ガラス製品は猫が手を出せない場所へ片づけておきましょう。壊す気がなくても、倒してしまい破片でケガをする危険性もあります。その他のものも、壊しそうなものは引き出しの中など、簡単には開けられない所へしまう方が安全です。それから、ケガには直接つながりませんが、ダウンジャケットをボロボロにひっかく猫もいるので、きちんとクローゼットにしまった方が無難です。フローリングなどの滑りやすい床材は、遊んでいる最中にブレーキがきかなくて壁にぶつかることもあります。心配であれば、滑り止め機能のあるコーティング剤などを使ってみてください。

飼い主の指を噛む黒猫東山先生にフードをおねだりするのも大得意のぷーちゃん。でも、たまに間違えて指を噛んじゃうことも!?

まとめ

PART①・②・③の3回にわたってお届けした「にゃ・ジャッジ ケガ編」はいかがだったでしょうか。猫はケガをしやすい動物ではありませんが、思わぬところで出血や骨折などをする場合もあります。また、外傷がなくても、何らかの衝撃が加わることで、体内が損傷する場合もあります。いずれにせよ、少しでも「あれ?」と思う場合には、決して慌てずに、猫の不安に寄り添うようにして病院へ連れて行ってあげましょう。
では、次回の「にゃ・ジャッジ」もぜひお楽しみに!

取材にご協力いただいた病院

ひがしやま動物病院 東京都杉並区和泉2丁目33-22

ひがしやま動物病院の外観と猫専用診察室ひがしやま動物病院では猫と犬で診察室を分けています。こちらは猫専用診察室

佇まいが美しい黒猫

愛猫と遊ぶ獣医師

美しいカッパー(銅色)の目をもつ黒猫のぷーちゃん。院内を自由に散策する愛らしい姿が魅力的です
  • twitter
  • facebook
  • LINE

記事制作にご協力頂いた方

「いいね♡」を押すとブログを書いた動物病院にHugQポイントが贈られます。
会員登録をしてあなたの「いいね♡」を動物病院に届けてください!

「ブックマーク」機能の利用には会員登録が必要です。