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にゃ・ジャッジ「ケガ編」 PART②

にゃ・ジャッジ「ケガ編」 PART②

 
東山 哲
      

「大切な愛猫の体調不良にはすぐに気づいてあげたい!」 そんなオーナーの思いとは裏腹に、猫は不調を隠してしまいがちです。そこで本企画「にゃ・ジャッジ」では、見逃してほしくない愛猫の不調のサイン、受診のタイミングを獣医師から直接アドバイス!
今回のテーマは「ケガ」!前回のPART①に引き続き、PART②でも、オーナーの皆さんが「どうしよう!」と迷うケースについて、猫裁判長と、有識者の東山哲獣医師に「こう動くべし!」とジャッジしていただきます。

【注意】本企画のアドバイス(「◎様子を見てOK」、「×早めに病院へ」)は、あくまでも一般的な目安とお考えください。少しでもおかしいと感じたら、かかりつけの獣医師へ相談されることをおすすめします。

目次

プロフィール
東山哲先生と黒猫

東山 哲(ひがしやミャ さとし)先生

山口大学農学部獣医学科卒業。2006年杉並区に「ひがしやま動物病院」を開業する。海外の猫学会にも多く参加し、日本にはそれまでなかったキャットフレンドリーという概念を紹介し啓発に努めてきた。JSFMねこ医学会の副会長及びCFC(※)理事を務める。「うちの猫を100倍幸せにする方法」(河出書房新社)他、学術書の執筆も多数。
※Cat Friendly Clinicの略。猫にやさしい診療を心がける、一定の国際基準をクリアした動物病院
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CASE3「キャットタワーから降りようとして、着地に失敗した!」

キャットタワーからの着地に失敗するネコ

にゃ・ジャッジ!!様子を見てもOK?or病院へ行くべき?

にゃジャッジ!!様子を見てもOK!

痛がっていなければ
様子を見て大丈夫

解説
高い所から降りるときに着地に失敗したとしても痛がっている様子がなく、その後もいつも通りに過ごしていれば心配いりません。もしも猫が強い痛みを感じていたら、触られるのを嫌がったり、機嫌が悪くなったり、明かに様子が変わります。特に様子に変わりがなければそのままで大丈夫です。

Point

痛がっている様子がなく、その後もいつも通りに過ごしていれば様子を見て大丈夫です。
念のため翌日まで注意深く観察をしてください。

にゃジャッジ!!早めに病院へ!

物陰に隠れたり
歩き方がおかしかったら病院へ

解説
猫の痛みのサインはいくつかあります。骨折などの痛みが強い場合は、暗い所へ行ってじっと動きません。近寄ると怒って触らせない、という場合にはどこかに痛みがあるかもしれないと疑ってください。また、歩き方がいつもと違っておかしいときも注意が必要です。キャットウォークなどのかなり高い所から落ちるのを目撃した場合なども、念のため病院で診てもらった方がいいでしょう。

Point

痛みが強そう、歩き方がおかしい、かなり高い所から落ちるのを目撃した、そんなときには病院へ。まずはお電話でご相談ください。

先生からのアドバイス

有識者代表 東山先生

猫には表情がないと誤解している人もいますが、猫はとても表情が豊かな動物です。たとえば、痛みがあるときには、耳を寝かせます。猫の耳は、前にも後ろにもよく動くので、いろいろな心の動きを表すことに使われます。そうしたボディランゲージからも猫の気持ちを推し量ることができます。

Column

先生からのちょっとためににゃる話

高い所から落ちたときは、内臓へダメージが出ることも

高い所から着地するときに、猫は膝がお腹に当たることがあります。そうすると、肝臓に衝撃が加わってしまうのです。ケガがなかったのに、少しずつ具合が悪くなってくるようであれば要注意です。たとえば、おしっこの黄色が濃くなってきたら、それは黄疸といって肝機能が落ちていたり、腹腔内の出血などがあったりする場合に現れる症状です。肝臓の数値が悪いけれど原因不明という場合は、膝が肝臓を直撃した可能性を疑った方がいい場合もあります。また、顎を地面に打つケースもあります。猫の下顎骨(かがくこつ・顎の骨)は、左右一対の骨でできているのですが、そこがズレたり骨折したりするのです。猫が高い所からの着地で失敗することはあまりありませんが、いろいろな事故を引き起こす可能性があることは、知っておいてもいいと思います。

高いところに上っている黒猫

CASE4「あれ、お尻から血が出てる?!」

肛門の横から血が出ているネコ

にゃ・ジャッジ!!様子を見てもOK?or病院へ行くべき?

にゃジャッジ!!早めに病院へ!

この場合は、様子を見てはいけません!!
肛門の横から血が出ていたらすぐに病院へ!

解説
猫がお尻を床に押し当てながら歩く、いわゆるお尻歩きをした後に、肛門の横から血を出すことがあります。飼い主さんから見るとお尻にケガをしたのかなと心配になると思います。猫には肛門の横に2つの小さい袋があります。その袋が化膿して破けてしまうのが肛門腺破裂という疾患です。この場合は、飼い主さんご自身では応急処置ができませんし、様子を見てもいけません。病院で適切な治療を受けてください。

Point

肛門の横から血が出ているときは、肛門腺破裂の恐れがあるので、すぐに病院で治療を受けましょう。

先生からのアドバイス

有識者代表 東山先生

猫は、肛門の横に2つの小さな袋があり、その中に肛門腺という臭い液を溜めています。その袋の中に菌が入って感染を起こすと膿になり、その膿の出口がなくて破裂してしまいます。これが肛門腺破裂です。大量の出血にはなりませんが、座っていた所に血が付いていたりします。破裂した所から細菌感染が周囲に広がることもありますので、抗生物質を使った治療が必要です。出血量が少ないので様子を見る人も多いのですが、重症度が増すこともありますから、病院で診てもらってください。

東山獣医師と黒猫

まとめ

「ケガ」編もいよいよ次回がラストのPART③です。「家出した猫が帰ってきた!」「交通事故に遭った!」といった、オーナーとしてはあまり想像したくないトラブルをジャッジしてもらいます。万が一の時のために、ぜひ覚えておいてほしいことばかりです。ぜひお楽しみに!

取材にご協力いただいた病院

ひがしやま動物病院 東京都杉並区和泉2丁目33-22

ひがしやま動物病院の外観と猫専用診察室ひがしやま動物病院では猫と犬で診察室を分けています。こちらは猫専用診察室

院内の猫モチーフのグッズ

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院内のいたるところに、猫をモチーフにしたグッズがたくさんあり、東山先生の猫好きがうかがえます
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