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Vet’s Advice! 猫の腎性貧血【臨床症状編】

Vet’s Advice! 猫の腎性貧血【臨床症状編】

 
淺井 亮太
動物医療センター もりやま犬と猫の病院
250HugQ
      

『Vet’s Advice! 猫の腎性貧血』の後編では、慢性腎臓病による腎性貧血に苦しむ猫のために何かしてあげたい猫オーナーさんのお悩み&質問に淺井先生がお答えします!腎性貧血について詳しく知りたいという方は、前編を先にチェックしてみてくださいね!

プロフィール
獣医師 淺井亮太先生

淺井 亮太 先生

動物医療センター もりやま犬と猫の病院獣医師、院長。日本大学農獣医学部、酪農学園大学獣医学部卒業。「人として信頼してもらえる、話のわかる獣医師」であることをモットーに、診療内容や治療方法について、十分理解していただいた上で最良の治療を提案。愛するペットに何かあったときにすぐに連れて行けるホームドクターであるために、開業時から年中無休・24時間救急対応を行っている。大学時代、カヌースラロームの国体選手として活躍した経験から、趣味はアウトドアスポーツ全般。Team Hope副代表理事・中部地区委員長。
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腎性貧血の愛猫のために、
オーナーさんができることQ&A

淺井 亮太 先生
質問するオーナー

Question 猫の腎性貧血を早期に発見するために、
飼い主にできることはありますか?

獣医師 淺井亮太先生

Answer 毎日一緒にいるオーナーさんだからこそしてあげられることは、もちろん、あります。前編でも少しお話しましたが、僕が慢性腎臓病の猫オーナーさんにお願いしているのは、くちびる・目の粘膜の色、体が冷えていないかのチェック。腎性貧血になると、普通は血色のあるピンク色の粘膜が青白くなります。これを毎日チェックしてあげることで、早期発見が可能になります。

貧血が進むと体の体温が下がって冷えやすくなるので、足先や脇をタッチングして、ひんやり冷たくないかどうか確かめてあげてください。健康な猫の体温は人間より高い38~39℃ですので、猫の体に触れたときに温かさを感じなければ、貧血に陥っている可能性が高いです。すぐに病院へ連れて行きましょう。

Point自宅でできる腎性貧血チェック!

  • 1. 愛猫のくちびるや目の粘膜の色が青白くないかチェック
  • 2. 愛猫の体が冷えていないかどうかタッチング

貧血チェックの仕方を教える獣医師 淺井亮太先生 「あっかんべー」をするように、猫の目の粘膜の色をチェック

タッチングで猫の体温をチェックする獣医師 淺井亮太先生 足先、脇や股の間に触れて、体温をチェック

質問するオーナー

Question うちの猫は腎性貧血で食欲がありません。
腎臓病のフードにトッピングをしてあげたいのですが……

獣医師 淺井亮太先生

Answer なんとか食べてほしい切実な思いはとてもわかりますが、獣医師としては、そこはガマンしていただきたいです。なぜなら療法食を与えることは、腎臓に負担をかけるタンパク質を抑え、腎性貧血の進行を遅らせる治療でもあるから。猫ちゃんの好きな「かつおぶし」や「ササミ」などのタンパク源をトッピングしてしまうと、治療の成果が期待できないことにつながります。

慢性腎臓病の猫は、脱水症状と貧血で食欲がないことが多いので、水分補給しやすい環境づくりも大切です。フードに水分を含ませる、猫がよく通る場所に水を入れたボウルをいくつか置く、猫が飲みやすいボウルにしてあげるなどを、ぜひ工夫してあげてください。

どうしても何か美味しいものをトッピングしてあげたいのであれば、最近では低タンパク・低ナトリウムの腎臓ケア用のトッピングも様々なタイプが揃っています。動物病院に相談して、猫ちゃんの好きなテイストを色々試して見つけてあげましょう。

Point腎性貧血の猫のためにできること

  • ベストは療法食だけを与えること!
  • 猫の好きな魚や肉のトッピングは、ガマン!
  • 飲みやすいボウルや数カ所にボウルを置く工夫で、脱水症状を予防!
  • トッピングは腎臓ケア用のものをチョイス!

手術室で説明する獣医師 淺井亮太先生

質問するオーナー

Question 猫の腎性貧血の治療は、
頻繁に病院に通わなければいけませんか?

獣医師 淺井亮太先生

Answer 僕の病院では、腎性貧血の進行具合を診る検査のために数ヶ月に1度来られる方もいれば、週に1度のペースで通院されている方もいます。通院の頻度は様々で、その子のステージによって違うもの。重篤な貧血に陥っている場合は入院して輸血などの集中治療をしたり、危篤状態の子は毎日病院で様子を診たりする必要がありますが、容体が落ち着いていれば、オーナーさんの生活に支障やストレスがない治療プランを一緒に考えていければと思います。

手術室で説明する獣医師 淺井亮太先生

質問するオーナー

Question 慢性腎臓病から腎性貧血を発症しやすい
猫種や年齢はありますか?

獣医師 淺井亮太先生

Answer 慢性腎臓病から腎性貧血を発症しやすい猫種というのはありませんが、腎臓機能が衰え始めるシニア期の猫は、やはり発症リスクが高くなります。腎臓病に限らず、7歳以上になるとあらゆる疾患にかかる確率は2倍に、12歳以上だとさらにその2倍となるので、高齢の猫は最低でも年2回は検査をしてあげてほしいです。

また、食事や栄養が適切でない食生活や、療法食や投薬などの自宅ケアが十分できていないことが慢性腎臓病のステージを進行させる大きな要因になることも……。食事や投薬などの自宅ケアをしっかり気をつけてあげることが、腎性貧血の発症を防ぎ、腎不全に至る慢性腎臓病の進行を遅らせるのだと、どうか心に留めておいてください。

Message for Pet Owners
淺井先生からのメッセージ

慢性腎臓病による腎性貧血は、完治が望めないことから、治療を続けるべきか、どこまで治療すべきか迷われる飼い主さんは多いことと思います。しかし、その子が今、苦しんでいるつらさ、しんどさを和らげてあげることで、たとえ病気であってもその子の生活の質(QOL)を保つことはできます。

僕たち獣医師は、動物たちの健康で元気な姿を守り、その命を輝かせることが仕事です。
たとえ病気になっても、その子が幸せで温かい気持ちで生きられるように、獣医師として全力でサポートしたいと願っています。どんなささいなことでも、心配なことがあれば遠慮なく、安心して相談に来てください。

子猫を抱っこする獣医師 淺井亮太先生

取材にご協力いただいた病院

動物医療センター もりやま犬と猫の病院 外観と内観動物医療センター もりやま犬と猫の病院 院長 淺井亮太先生動物医療センター もりやま犬と猫の病院

愛知県 名古屋市守山区
淺井 亮太
動物医療センター もりやま犬と猫の病院
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