前回の『Vet’s Advice 皮膚アレルギー 前編』では、猫の気持ちを知り尽くした皮膚科医の神田先生に、アレルギー性皮膚炎に悩む猫たちにストレスを与えない治療のコツ、さらに、自宅でできるアレルギー対策など、普段の診察ではなかなか聞けないオーナーさんのギモンや質問に、回答していただきます!
神田 聡子 先生
【サーカス動物病院およびVet Derm Tokyo(神田先生所属)が運営するお役立ちサイト】
・飼い主のための皮膚科情報サイト
・アトピー・アレルギー改善&予防に役立つ情報満載「pet _skin」
・NEW!動物のスキンケアに関する情報を発信する「どうぶつのスキンケア」
教えて!
自宅でできるアレルギーの改善&予防方法
アレルギーの猫におすすめのサプリメントが知りたいです!
かゆみや炎症などの猫のアレルギー症状の緩和に効果があり、減薬につながるサプリメントとして、「脂肪酸サプリ」があります。脂肪酸は、体内の炎症抑制、皮膚バリアの修復、また、関節炎の予防にも効果的。ただ、サプリメントひとつでも、「また飲まされる薬が増えた」とストレスに感じる猫もいるので、無理に与える必要はありません。あくまでも、猫の気持ちを優先してあげてくださいね。
療養フードを食べやすくするコツを教えてください!
猫は好きな匂いに敏感な動物なので、猫さんの食欲がそそられるように療養フードの袋に「出汁パック」を入れて、「おいしそう~」な匂いを付けてあげるのも、猫の食いつきを良くするコツ。ぜひ一度、試して見てください。
少しでもストレスのない生活環境にしてあげたいのですが、どんなことをすればいいですか?
お部屋のスペースに余裕があれば、キャットタワーを置いて、猫の遊び心を満たしてあげましょう。さらに猫は外の風景を眺めるのが大好きなので、可能であれば、窓から外が見えやすい位置にソファや家具をレイアウトしてあげると、猫の気分転換になります。また、猫はトイレにとてもこだわる動物なので、トイレの形やサイズ、置き場所、猫砂の種類などを猫の好みに合わせ、快適で使いやすいトイレスペースを作ってあげましょう。
皮膚を清潔に保つために、シャンプーはしてあげた方がいいですか?
多くの猫は、水に濡れたりすることを嫌うので、無理にシャンプーしようとすると猫の猛反撃に飼い主さんも猫もケガをしてしまうこともあります。基本的に、グルーミングで体をキレイに保っているので、室内飼いの猫のシャンプーはしなくても大丈夫です。ただ、過剰な皮脂分泌によって「あごニキビ」や尻尾の付け根がベタベタするなどの皮膚トラブルが起きやすい子もいるので、そういう場合は、舐めても無害な猫用のシャンプーを使ってケアしてあげましょう。
犬の場合、皮膚の治療に塗り薬やエリザベスカラーを使いますが、猫の場合は?
猫が舐められない首や背中であれば、症状によっては塗り薬を使用する場合もありますが、猫の手が届いてしまうところには使いにくいです。また、エリザベスカラーは猫にとっては「舐めたくても舐められない」拷問のようなものなので、まず使うことはないですね。ただ、服を着せられることに慣れている猫なら、塗り薬を塗った上から服を着せることはあります。搔きたいときに搔くことができれば、猫も納得してくれますから。
毛玉や抜け毛がひどく、ブラッシングしてあげたいのに
嫌がってさせてくれません。何かいい方法はありますか?
アレルギーの猫の皮膚はとても敏感なので、金属製の猫ブラシなどは刺激が強すぎて嫌がる猫は多いです。猫におすすめしたいのは、豚、馬、猪などの毛で作られた「獣毛ブラシ」。これだと毛をつかみすぎず、皮膚にやさしいのはもちろん適度に刺激があるので、猫たちも気持ち良くブラッシングさせてくれるはず。硬さやサイズも色んなタイプがあるので、お気に入りを選んであげてくださいね。
神田先生からのメッセージ
猫の気持ちを大切に、
ストレスのない治療ケアを。
長く投薬治療を続けていてもあまり効果がなく、お医者さんに「ストレスによるもの」と言われ、どうしたらいいのかと、皮膚科認定医のわたしの診察に来られる方はとても多いのですが、猫の場合、処方するお薬は同じでもその量や与え方に工夫が必要。その猫の性格、気持ちを理解した治療プランでちゃんとケアしてあげれば必ず良くなるので、アレルギー治療には、獣医師と飼い主さんのコミュニケーションが不可欠です。
中には、嫌がる猫を病院に連れて行くのが大変で、診察に行くことを迷われている方も多いと思います。そういう場合は、例えば診察の時間には猫好き・猫に好かれる看護スタッフを揃える、予約を犬のいない時間にするなど、獣医師の側でも様々に対応できることはあるので、まずは飼い主さんだけでも来ていただくことが、治療の第一歩。
皮膚の状態が分かる写真や掻いている様子やグルーミングの動画をもってきていただけたら、診断や処方まではできなくても、可能性のあるアレルギー疾患のタイプ、治療方法についてお話しすることはできるので、安心して相談に来てくださいね。
今は、猫専門の病院や猫にやさしいキャットフレンドリーなクリニックも増えているので、好き嫌いの激しい猫には、その子の気持ちを分かってくれるお医者さん選びも、症状改善につながる重要なポイントだと思います。
取材にご協力いただいた病院
Instagramで様々なペットケアについての知識を公開しているサーカス動物病院。
新たにペットのスキンケアについての情報発信サイト『どうぶつのスキンケア』もスタート!「そうだったのか!」と思える情報満載です。ぜひご覧ください。
(どうぶつのスキンケアは右のQRコードからどうぞ)