猫は体調の悪化を隠すのが上手な動物。だからこそ、大切な愛猫の健康維持のためには、オーナーによる、不調への適切な行動が重要です。そこで本企画「にゃ・ジャッジ」では、見逃してほしくない愛猫の不調のサイン、受診のタイミングについて獣医師から直接アドバイス。初回テーマは排泄! PART①に引き続きPART②でも オーナーの皆さんが「どうしよう!」と迷うケースについて、猫裁判長と、有識者の太刀川獣医師に「こう動くべし!」とジャッジしていただきます。
【注意】本企画のアドバイス(「◎様子を見てOK」、「×早めに病院へ」)は、あくまでも一般的な目安とお考えください。少しでもおかしいと感じたら、かかりつけの獣医師へ相談されることをおすすめします。
目次
太刀川 史郎 先生
CASE4「大変、ウンチが下痢状態!すぐに病院へ連れて行った方がいい?」
2~3日で症状が治まる場合もあるので、
焦らず観察を
解説
猫は基本的にあまり下痢をしない動物です。下痢をするときに考えられるのは、寄生虫やフードに対するアレルギーなどですが、腸管の癌が隠れている場合もあります。ただし、何もしなくても回復するケースもあり、その場合は2~3日で症状が治まります。
2~3日であれば様子を見ても大丈夫
高齢猫の場合で、
下痢が続くようであれば病院へ
解説
高齢猫(11歳以上)で、1日で下痢が治まらないようであれば早めに病院へ連れて行ってください。正確に状況を伝えるために、もし下痢便を採取できるのであれば、持参するといいでしょう。オーナーが下痢だと思っていても、実は便秘の場合も。便秘でウンチがたまり、ウンチの脇を下痢便が出てきていることがあるんです。こういったケースでは、下痢の治療によって余計に便秘がひどくなることもあります。下痢か便秘かの判断も重要ですので、一度病院で診てもらってください。
高齢猫の下痢には要注意。2日続けば病院へ
先生からのアドバイス
猫の下痢は、ストレスも大きな原因となりえます。実は、猫にとっての一番のストレスは「多頭生活」です。「多頭生活」は猫だけでなく人間も含みます。猫が1匹、人間が3人であれば、猫にとっては4人家族。たとえば1DKに4人いると、「お部屋の広さのわりにメンバーが多くない?」と猫は思っているのかも。たくさんの人と一緒に狭い場所にいると人間も猫もイライラするもの。ましてや猫のようなテリトリーを大事にする動物にとっては、そのストレスは大きいものです。ストレスを軽減するためにも、椅子や棚、箪笥などの上にクッションやタオルを置いて猫がくつろげるスペースを作るなど、それぞれの猫に「自分の居場所」を作ってあげましょう。
CASE5「トイレじゃないところでおしっこしてる!もしかして病気?」
環境面を見直し、
改善して様子を見てみましょう!
解説
猫はキレイ好きなので、自分の居場所が排泄物で汚れるのを嫌います。教わらなくても3週齢くらいから「ここは寝場所、ここはトイレ」とちゃんと決められる、清潔で知的な動物なんです。トイレを失敗するということは、何らかの理由があるのでちゃんと原因を探って対策をしてあげましょう。
たとえば、窓から野良猫が外を通るのが見えると、おしっこをそこにかけるようになります(いわゆるマーキング)。特にオス猫はやりがちですが、この場合は自分のテリトリーを主張して守るための行為なので、トイレの失敗ではありません。このように、トイレ以外の場所でおしっこをしてしまう原因がどこかにないかを探り、環境改善をしたりしつつ、しばらく様子を観察てみましょう。
マーキングの場合もあるので、環境面をまずはチェック!
環境を変えても失敗する場合や
高齢猫などの場合は病院へ
解説
トイレの失敗は、膀胱炎、腎臓病、糖尿病などの病気の可能性もあります。環境をチェックして改善したのにまだおしっこをする、もしくは高齢猫の場合は、病気の早期発見のためにも病院へ連れて行ってください。
先生からのアドバイス
お布団やベッドでおしっこをする猫もいます。もしかしたら、小さいときにたくさん猫がいる環境で、トイレがうまく使えなくてタオルでしていた頃の感触の記憶があるのかもしれません。また、保護猫であれば、屋外で生活していた頃は草むらでしていたため、「猫砂は足場が悪いし、指の間に砂が挟まるのもイヤ!こんな気取ったもの使って、嫌になるニャン!」と思って、リラックスできる場所を選んでいる可能性もあります。
お布団やベッドでおしっこをする場合には、おもらし用の防水シートなどを活用してみましょう。また失敗してしまった場所の近くにトイレを置くと、そこでするようになることも。保護猫であれば、外の草をトイレに入れてあげると、外の匂いがするのでトイレでちゃんとするようになることもあります。
CASE6「今日はおしっこが出てないし元気もない、ちょっと心配…」
この場合は、様子を見てはいけません!!
元気がないのは危険信号、すぐに病院へ!
解説
排泄トラブルの場合、受診が早すぎて原因が特定できないケースもありますが、この場合はまったく別です。深刻な状態に陥っている可能性が大きいので、すぐに病院へ連れて行ってください。かかりつけ医がお休み、もしくは夜間の場合は、救急病院へ連れて行きましょう。
「おしっこが出ない+元気がない」のは、命の危険が差し迫っている証拠。急性腎臓病になってショック死を起こしかねません。病院へ連れて行って即検査を受けさせてください。
ためらわずに、病院へ!!
先生からのアドバイス
すぐに病院に連れて行きたいけれど、「あの病院はいつも忙しくて、待たされるからいやだな」という場合もありますよね。それでも緊急時は1分1秒が勝負です。ぜひ病院の予約システムなどを上手に使ってなんとか早めに病院に来てください。
病院を転々とする、いわゆるドクターショッピングをしてしまっている方もいるかもしれませんが、先生を変えてしまうと、病気の発見が遅れることもあります。突然体調を崩すこともある猫たちのためにも、ぜひ、健康な時から、かかりつけ医を見つけておいてください。きちんとコミュニケーションがとれて信頼ができる、オーナーさんのライフスタイルも理解して、猫の性格や健康状態もわかってくれる、とっておきのマイベスト獣医師を見つけておけば緊急時も安心です。
PART①、PRAT②の2回にわたってお届けした「にゃ・ジャッジ」第1回「排泄編」はいかがだったでしょうか。猫が排泄で問題を抱えやすいのは、身体的な特徴だけでなく、その来歴にも関わりがあり、また、ストレスに弱く排泄関連にその問題が現れてしまうからだったんですね。
トラブルを気にしすぎて神経質になるのはよくありませんが、普段から「今日はおしっこやウンチ、したかな?」と、目配りをしてあげてください。猫との生活を楽しみながら、トイレチェックで猫の健康を守ってあげましょう。
では、「にゃ・ジャッジ」第2回もぜひお楽しみに!